ビタミンC60バイオリサーチ、世界初の植物由来フラーレンを開発

週刊粧業 2020年6月8日号 6ページ

ビタミンC60バイオリサーチ、世界初の植物由来フラーレンを開発
 ビタミンC60バイオリサーチでは、約5年間の研究期間を経て世界で初めて植物由来フラーレンの開発に成功し、オリーブスクワランに植物由来フラーレンを安定的に分散させた100%植物由来のエイジングケア原料「リポフラーレンN」を今年4月1日に発売した。

 同原料は、欧州の化粧品原料コンテスト「BSB Innovation Prize Awards 2020」の機能性原料部門において銀賞を獲得するなど、早くも注目を集めている。開発経緯などについて、林源太郎社長に話を伺った。

原料植物や製造工程にこだわりつつも
従来品と同等の価格と機能性を実現

 今回の植物由来フラーレンの開発にあたっては、「自然由来化による製品の高付加価値化」「従来品(リポフラーレン)と同価格での提供」「サステナビリティや環境への配慮」の3つを目標に掲げた。

 フラーレンは2005年の発売以来、強力な活性酸素除去効果を持つ化粧品原料として業界で支持され、フラーレン配合化粧品を展開する企業が年々増加している。

 同社では、今後ますますナチュラルやサステナビリティが重視されるとの認識のもと、フラーレンを「植物由来化」することが、クライアント企業の化粧品の付加価値を高めることにつながると考えた。



 そこで、フラーレンの植物由来化を目指し、2015年春から開発をスタートした。

 開発に際しては、出発原料となる植物の持続可能性を最大限に重視し、また環境に配慮した製造工程の構築にも取り組んだ。植物由来に切り替えることで原価は上昇するが、コストアップ分をクライアント企業に転嫁せず自社で吸収できるようコストダウンにも努めた。

 具体的には、スギ丸太生産量が日本一の宮崎県で、大切に管理された森林から得られる天然杉を出発原料としたほか、木の使用量を抑制し効率的にフラーレンを製造するため、クリーンウッド法(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)で合法木材供給事業者として認定された企業にて、樹皮を剥いでペレットに加工している。

 さらに、ペレットを炭素化してフラーレンのもとに加工する工程では、水力発電によるクリーンエネルギーを使用している。

 「植物由来のフラーレンへと切り替えるにあたり、製造歩留まりが従来よりも悪化してしまい、生産効率が落ちてしまう点が大きな課題だった。出発原料の選定から色々と試行錯誤を重ね、さらにサステナブルで効率的なフラーレンの製造工程を構築したことで歩留まりを改善し、従来品と同価格での提供が実現した」(林社長)

 こうして誕生したリポフラーレンNは全て植物由来のため、ISO16128に基づく自然由来指数が1(100%)に分類される。

 植物由来に切り替わったものの、フラーレン自体の物性は変化しないため、従来のリポフラーレンと同等の機能性を有しており、これまでと同じように処方が可能で、表示名称やINCI名、製品規格も従来のままだ。

 そして、リポフラーレンNの容器には環境に配慮して従来のブリキ缶から新たにパウチ容器を採用し、廃棄ゴミ量を約9割削減することに成功した。容器変更に伴い、容量も従来の800gから1㎏に変更し、これでフラーレン配合の5原料(リポフラーレンN/ラジカルスポンジ=水溶性フラーレン/モイストフラーレン=リポソーム用/サンガードフラーレンA=サンケア用/ヘアシャイニーフラーレン=ヘアケア用)の容量が統一された。

 「植物由来フラーレンは、製造工程から容器に至るまでサステナビリティと環境に配慮している。再生可能な森林で得られる国産杉を使い、再生可能な水力エネルギーで炭素化し、それを独自の方法で合成・抽出・精製することで、世界初の植物由来フラーレンが誕生した。既存のお客様は4月1日から半年間を切り替え期間としており、新規のお客様も既に4月から早速出荷を開始しており、好調な滑り出しを見せている」(林社長)

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