JCC、アフターコロナのコスメバレーのあり方

週刊粧業 2020年6月22日号 4ページ

JCC、アフターコロナのコスメバレーのあり方
 一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター(JCC)は2013年11月の設立から、佐賀県・唐津市に国際的なコスメティッククラスターを創出するべく、サプライチェーンの構築や地域素材活用、海外販路の構築など、幅広い事業を推進してきた。

 今年度は、産学官連携によるナレッジネットワークの構築に注力するとともに、ビューティ&ヘルスケア領域のスタートアップ企業のサポートを加速させる。

 今回は19年度の取り組みを振り返るとともに、アフター/ウィズコロナにおけるJCCが目指す姿について話を伺った。

ナレッジ共有ネットワークを構築
企業・研究者間の相互作用促す

 今年度、JCCはヴァーチャルプラットフォームとしての強みを活かし、ナレッジネットワークの構築を進めている。

 JCCに集まる業界最先端の情報を基盤に、会員企業や大学、研究者同士の相互作用を促進する。ナレッジネットワーク構想はJCC発足の意味にもつながるという。

 設立から6年目を迎え、事務局参事の八島大三氏は、「JCCと会員企業様という単方向の構図になっていた」と、近年のJCCと会員企業の関係性を振り返る。

 ナレッジネットワーク構想には、JCCがハブ機能を獲得しナレッジ集団を形成することで、企業および研究者同士の新しい共創につなげていく狙いがある。産学連携による共同研究の支援・マッチングを図るほか、フランスとの国際共同研究を軸に、国内外のコスメ関連研究者のネットワーク構築を推進することで、JCCは「答えを見つけるための場」となる。

 新型コロナウイルス感染拡大とともに、JCCに寄せられる問い合わせにも変化が見られるという。以前は、協業マッチングや販路開拓をはじめとするビジネス機会の創出が求められる傾向にあったが、昨今は事業設計そのものに関する問い合わせが増加しているようだ。

 こうした中、「将来を予測するよりも、自分で切り開く気持ちの方が大切だ」と話す八島氏は、新しいビジネスモデルをつくり上げる風向きを肌感覚で感じているという。

 JCCの会員企業の業種は多岐にわたる。新たな事業設計を考える際、転換していく価値観に追いついていくためには新しいアイデアや技術など、異業種のアセットを活用することが重要だ。新たに事業設計をデザインしていかなければならない状況下だからこそ、「ナレッジネットワーク構想には可能性がある」という。

 さらに続けて八島氏は、JCCが推進するコスメティッククラスターの、コロナ禍のサプライチェーン分断リスクにおける可能性を示唆する。

 発足当初から、JCCはエリアサプライチェーンの水平連携を目指し、佐賀・唐津をコスメの産業集積地にするための取り組みを進めてきた。移動の制約を受けにくいエリアサプライチェーンを築くことで、安定したモノづくりを行うことができる。

 今般の新型コロナが、新しいビジネスモデルを構築するチャンスであると前置きしたうえで、八島氏は「JCCとしてこの状況に貢献できなければいけない」と、新たな取り組みを構想していくという。

 そして新たにJCCは、スタートアップ支援事業を本格化させる。

 9月上旬から募集を開始する「アクセラレーションプログラム」では、ビューティ&ヘルスケア領域を核に、新たな価値創造を目指すスタートアップ企業を募集する。

 会員企業のアセットとともに、ローカルハブであるJCCが蓄積したノウハウや情報を活用することで、新しいビジネスの創出さらにグローバルへの展開も構想しており、国内のスタートアップと、海外の企業やメンターとのマッチングを図っていく。

 「国内企業がグローバルのマーケットにさらに近づいていくため、垣根なく各国のスタートアップが発信できる場を提供していきたい」(八島氏)

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