資生堂、化粧膜の物性が肌の柔軟感に影響することを発見

粧業日報 2020年10月19日号 5ページ

カンタンに言うと

  • 心と肌に響く満足度の高い新たな価値の開発へ
資生堂、化粧膜の物性が肌の柔軟感に影響することを発見
 資生堂は名古屋大学との共同研究により、心理物理学的手法を用いて、肌表面の摩擦や弾性が、柔らかさやハリ感などの柔軟感に大きく関係していることを新たに見出した。

 従来、肌の大部分を占める真皮のコラーゲンやエラスチン、皮下組織などの物性が肌の柔軟感に関わることは知られていたが、肌表面の物性と柔軟感の関係はあまり着目されていなかった。

 そこで今回は、強みである感性・心理研究とマテリアルサイエンス研究を融合させて、肌表面の物性と柔軟感の関係を発見した。

 この発見は、毎日化粧品を心地よく使用し、心健やかに過ごしていくための重要な知見であり、感性・心理研究を深めることで、製品の効果・効能の追究に加え、心と肌に響く満足度の高い新たな価値の開発を行っていく。

 なお、研究成果の一部は、「The IEEE World Haptics Conference2019」(2019年7月9~12日)、「第15回日本感性工学会春季大会」(2020年3月5~6日)で発表している。

 研究では、20代~60代の日本人女性39名に対して、物性として同じ柔らかさを持つ肌モデルの表面の摩擦のみを段階的に変化させた5種類の触感サンプルを用い、指で滑らせたときの柔らかさの印象を答える心理物理実験(順位法)を行った。

 その結果、人は表面の摩擦が小さいほど柔らかさを感じることがわかった。

 次に、30代~40代の日本人女性25名に対して、2層構造の肌モデルの表層薄膜(シリコーン薄膜)の弾性のみを変化させた5種類の触感サンプルを用いて、指で押したときのハリ感の印象を答える心理物理実験(順位法)を行った。

 その結果、人は表層の薄膜の弾性が大きいほど、ハリ感を感じることがわかった。

 つまり今回の研究は、同社独自の触覚研究により、塗布した化粧品による肌表面の摩擦や弾性の小さな変化を被験者が知覚し、柔らかさやハリ感の判断を行っていることを初めて科学的に実証したことになる。
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