新型コロナウイルスの感染拡大は、衛生意識の高まりや消費停滞など、暮らしや経済に大きな影響を及ぼしました。
小林製薬グループにおいても、従業員の安全を最優先にしながらも、マスクや除菌関連製品の安定供給に努めるなど、感染拡大防止と経済活動の両立にスピーディーな判断を迫られた一年でした。
コロナ禍で変化した生活習慣からは、新たなお困りごとが生まれています。生活者のお困りごとを解決することで新市場を創造してきた当社にとって、社会に貢献できる機会であると考えています。
新製品開発では、昨年Withコロナの暮らしのお困りごとに関する新製品アイデアを全社から募ったところ、約10カ月で1万件以上集まりました。
その中から既に発売にこぎつけた製品もあり、改めて従業員一人ひとりのアイデア創出力と製品開発力を頼もしく感じました。
既存品では、くり返すニキビ・肌荒れの予防ができる「オードムーゲ」の売上が伸びました。
マスクを常時つける生活習慣から、マスクの刺激でニキビができたり肌荒れしたりするお困りごとが新たに生まれ、「オードムーゲ」でケアできることをWebで広告したところ、売上は前年比120%近くまで伸びました。他の既存ブランドでも新たなお悩みに合った提案をしていきます。
2020年~2022年の中期経営計画では、全社を挙げて国際事業の成長に取り組んでいます。日本のインバウンドで売れたものが、その後も中国国内で売れていることに着目し、インバウンドで売れた製品を優先的に中国市場に導入していきます。
しかし現在はコロナ禍でインバウンド需要がなくなっており、この戦略は実行できないため新製品の多くを中国のECでテスト販売することにシフトしています。
各国でのOTC医薬品の販売体制の強化も進めています。中国では2017年に買収した江蘇小林製薬で製造した、ニキビ薬「ビフナイト」を昨年10月に発売しました。
米国では昨年10月にAlva(アルバ)社を子会社化しました。各国でのOTC医薬品の売上構成比率を高めることで、国際事業全体の利益率の向上を目指します。
ESG項目では、「バージン樹脂」の使用量削減に取り組んでいます。容器に使用する一部の樹脂を、リサイクルした樹脂や植物由来の樹脂に置き換えていくことを進めています。
今年の春頃には、リサイクル樹脂を使用した製品が店頭に並び始めます。今後もESGの視点で経営を磨き、社会的課題の解決ならびに持続的成長に向けて取り組んでまいります。