一丸ファルコス、再生医療研究に着目し植物由来の育毛成分で世界初

週刊粧業 2021年1月18日号 7ページ

一丸ファルコス、再生医療研究に着目し植物由来の育毛成分で世界初
 一丸ファルコスは、海外化粧品原料展示会で催される賞レースでの連続受賞記録を2016年から伸ばし、機能性原料の研究開発メーカーとして国際的な知名度を上げている。

 20年は国産クレソン由来の育毛原料が2つの賞を受賞した。

 開発を担当した開発部開発一課の橋本雅和氏に話を聞いた。

 ――20年に受賞した育毛原料「バージョンアップ」(表示名称=オランダカラシエキス)の開発経緯についてお聞かせください。

 橋本 女性の髪のケア意識が高まり、育毛剤市場が拡大傾向にある中で、当社も新規育毛原料の開発プロジェクトを15年に立ち上げた。

 既に市場には優れた育毛原料が多く存在し、後発として、今までにない新しいコンセプトで、「世界初」を謳えるインパクトのある育毛原料を開発しようという目標を設定した。

 ――そこで着目したのが「R₋spondin1」ですね。

 橋本 R₋spondin1は、再生医療や幹細胞研究で臓器を作る際に細胞を活性化させる目的で用いられており、それが毛髪(毛包)内にも存在することを確認した。

 約150種の植物を対象にR₋spondin1の産生を促す評価を行い、8種まで絞り込んだ中で、とても高い数値を示したのがクレソンだった。さらに研究を進め、クレソンエキスの中でも特にR₋spondin1産生を促した成分を抽出することに成功した。

 ――前例のない研究に不安はなかったですか。

 橋本 17年の国際毛髪研究学会にて研究の途中経過をポスター発表し、大学の先生などから「着眼点が面白い」といった意見をもらえたことでさらに火が付いた。

 「バージョンアップ」は、植物エキスとして世界で初めて、毛包細胞因子R₋spondin1の産生を促す効果を発見した。同時に、脱毛因子DKK1産生を抑制して抜け毛から「護る」効果も確認した。

 この2つのメカニズムによって、発毛促進、脱毛抑制、白髪抑制の3つの効果をもたらす。まだ仮説段階だが、白髪を黒くする可能性も確認された。検証を進めていきたいと考えている。

 育毛剤は医薬品の領域でもあるが、一方で副作用がある医薬品の使用を極力避けたいというニーズも存在する。

 これまでは薄毛など症状が現れてからキュアするのが主流だったが、今後はそうなる前段階からケアするニーズが高まっていくと考えている。

 そのニーズに応える役割を担うのが、化粧品であり、「バージョンアップ」のような植物由来で高い育毛効果を発揮する原料が求められるだろう。

 ――昨年、「バージョンアップ」が2つの国際的な賞を受賞したことが、そうした時代の流れを物語っていますね。他に注目している研究領域はありますか。

 橋本 ホルモンバランスなどメンタルの問題・悩みを化粧品で改善・解消できることが研究で明らかになってきている。

 人々の生活をより楽しく、より豊かにできるものとして化粧品の価値を高め、可能性を広げる研究であると捉え、注目している。
ホーム > 化粧品業界人必読!週刊粧業オンライン > 一丸ファルコス、再生医療研究に着目し植物由来の育毛成分で世界初

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop