ホシケミカルズは1975年に原料商社として創業し、現在は化粧品OEMや容器製造なども幅広く手がける。
研究開発部では、国内外の様々な原料メーカーと連携し、コロナ禍の新たなニーズに対応するOEM・ODM製品づくりを進めている。
森戸洋平係長に話を伺った。
――ご自身がこれまで携わった研究開発について、改めて振り返っていただけますか。
森戸 大学卒業後にホシケミカルズに入社し、当初は工場で製造・品質管理に携わっていたが、それから1年後に研究開発部に異動し、今年で16年目となる。
これまでは主に、医薬部外品のスキンケアやヘアケアの処方開発を行ってきたほか、除菌アイテムを軸とした指定医薬部外品の開発も担当し、現在はコロナ禍の新たなニーズに対応するOEM・ODM製品づくりを進めている。
医薬部外品は22品目のODMシリーズを展開し、直近では今月から新たにヘパリン類似物質を配合した化粧水「薬用モイストローション」の受注を開始した。
ヘパリン類似物質は保湿性が優れる反面、ベタつきやすく配合することによって製品の安定性が崩れてしまうなど、原料自体の取り扱いが非常に難しい。
当社では約2年前からヘパリン類似物質の原料調査に乗り出し、定量試験を幾度も重ねて安定性のバランスや使用感の向上に日々努めてきた。
競合他社でも展開が少ない優位性の高い製品であり、当社では昨年12月にリリースした乳液「薬用モイストヘルパーミルク」と併せ、ヘパリン類似物質を配合したスキンケアを既に2品ラインナップしている。
指定医薬部外品では昨年3月、消毒しながら保湿もできるスキンケア成分配合のエタノール消毒液「薬用スキニークリアローション」をリリースした。
医薬部外品の処方開発とは全く異なり、手探りの状態で一から情報収集して研究開発を行い、大変苦労した。
ヘパリン類似物質を配合したスキンケアとエタノール消毒剤は、いずれもコロナ禍の前から開発を進めてきたもので、これまでの研究成果を振り返ると、改めて「トレンドを先読みした研究開発」を行ってきたことを実感している。
――現在注力されている研究開発についてお聞かせください。
森戸 コロナ禍で外出機会が減少し、外出自粛によって感じるストレスを香りや使用感の良さで解消するアイテムの開発に取り組んでいる。
また、マスク着用による肌荒れをケアするアイテムの開発も進めており、ヘパリン類似物質を配合したスキンケアでは乳液とローション以外に保湿を重視したクリームや、ヘパリン類似物質以外の抗炎症や美白、シワ改善の有効成分を掛け合わせた新たなラインナップの開発にもチャレンジしている。
――ポストコロナで研究者に求められる役割と今後の抱負をお聞かせください。
森戸 超ストレス社会のコロナ禍において、五感に響くアイテムへのニーズがより一層高まっており、肌や身体へのストレスや悩みが尽きない昨今、それらの健康を保つためにも化粧品の役割がますます重要になってくるだろう。
また、SDGsやクリーンビューティのトレンドを踏まえ、膨大な原料の中から無駄を省き、かつ高機能を実現するシンプルイズベストな処方開発が、我々に求められる役割であると感じている。
15年前に開発に携わった当時はアナログな手法で研究開発を進めていく部分もあったが、通信環境が整備された現在は処方のデータ化など利便性が格段に高まり、大きく一変した。
研究開発における今後の抱負としては、デジタルとアナログそれぞれの良さを活かしたハイブリッドな処方開発を進めていきたい。