花王、効率的なプラスチック循環に向けた実証事業に参画

粧業日報 2021年5月31日号 4ページ

花王、効率的なプラスチック循環に向けた実証事業に参画
 花王は、「大丸有エリア(大手町、丸の内、有楽町エリア)における動静脈一体物流による効率的なプラスチック循環に向けた実証事業」(期間:2021年6月1日~2カ月程度)に参画する。

 動静脈一体物流とは、生産者から消費者に向かう「動脈」と、消費者から生産者に向かう「静脈」の物流の流れのことで、花王はプロジェクトにて回収したプラスチックの物性評価を行い、日用品包装容器への活用を検討していく。

 実証事業では、丸の内ビルディング、新丸の内ビルディングのアパレルテナントから排出されるプラスチック製フィルムを、納品業者が納品時の帰り便で回収。回収された廃プラスチックは圧縮保管後、粉砕・溶融して原材料化し、リサイクルする「リペレット」を行い、得られた再生ペレットで日用品の包装容器での活用に向けて、物性評価・用途開発を行う。

 廃棄物の回収・圧縮保管・リペレット・製品化を通し、プラスチック資源循環の課題の抽出と、ライフサイクル全体での環境負荷の評価を行っていく。

 現在、商業施設やオフィスビルなどから排出されるプラスチック廃棄物の多くは、マテリアルリサイクル(再商品化)ではなく、サーマルリサイクル(熱源として再利用)されている。

 一方、昨今では、海洋プラスチック問題のように使用後に適正に回収・再利用されていない「プラスチックごみ」が社会課題となっており、将来的には、プラスチック廃棄物のリサイクルを広く行い、プラスチック循環システムを構築することが求められている。

 システムを構築する手段の1つに、一度市場に出た資源(PCR材)を原材料として再活用することが挙げられるが、PCR材の組成は様々で、発生量が一様でないため、各拠点での排出量が不明瞭で品質が安定せず、回収コストも高くなる点が課題となっている。

 企業が原材料としてPCR材を継続活用するためには、トレーサビリティを担保したうえで、これらの課題を解決することがポイントとなっている。

 今回のプロジェクトでは、東京都の「再生利用指定制度」によって、動静脈一体物流を実現し、廃棄物の回収・圧縮保管・リペレット・製品化までの一連のプロセスを通して、プラスチック資源循環の課題の抽出と、ライフサイクル全体での環境負荷・コストの評価を行っていく。

 花王は昨年から、環境省の「令和2年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」にて補助事業者に採択された川崎市で、今回のプロジェクトと同様に、商業施設から回収されたPCR材のリサイクルに他企業と連携して取り組んでいる。

 今回のプロジェクトや川崎市との取り組みなどを通じ、花王はプラスチックに関する研究技術を提供することによって、自治体・他企業と連携してプラスチック循環社会実現に貢献していく。
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