花王、化粧品でケミカルリサイクルPET素材の採用を開始

粧業日報 2021年6月3日号 1ページ

カンタンに言うと

  • プラスチックボトルの水平リサイクルめざす
花王、化粧品でケミカルリサイクルPET素材の採用を開始
 花王は、プラスチック循環社会の実現に向けた取り組みの一環として、化粧品のボトル容器に、ペットリファインテクノロジー社が製造するケミカルリサイクルPET(ポリエチレンテレフタレート)素材を採用し、2021年6月より、化粧品ブランド「トワニー」のボトルを皮切りに順次導入していく。

 今後は、使用済み容器を回収し化粧品PETボトルへ再利用するボトル容器からボトル容器への水平リサイクル実現に向けた取り組みを進めていく。

 昨今、環境負荷低減への社会的な機運は高まっており、化粧品業界においても、環境に配慮した商品を選択する人が増えるなど、消費者の購買意識に変化がみられる。

 一方で、再生プラスチックを包装容器として採用するためには、品質の担保と安定供給が必要となる。

 今回、花王が化粧品ボトル容器に採用するケミカルリサイクルPETは、ケミカルリサイクル技術「BRING Technology」により開発された。

 この技術は、使用済みPET素材の容器を、バージンPETと同等の品質を有するPET素材に再生でき、製造された再生PET素材は、内閣府食品安全委員会に食品容器としても承認されるなど、品質面でも評価を受けている。

 また、これまで難しいとされてきた、着色や加飾がなされた、中身の剤が付着した化粧品容器でも、バージンPETと同等の品質を有するPET素材へのリサイクルが可能になるという。

 化粧品容器を含めた幅広い使用済みPET素材のリサイクルを進めることで、再生材の安定的な供給も期待できる。

 同社では今後、化粧品PETボトル容器の水平リサイクルを実現すべく、ケミカルリサイクルPET素材を使用したボトル容器の採用を順次拡大し、使用済み容器の回収、再利用についても検討を進めていく。

 花王グループは、2019年4月にESG戦略「キレイライフスタイルプラン」を策定し、19の重点取り組みテーマと、注力アクションを設定している。

 今回のケミカルリサイクルPETの活用は、重点取り組みテーマの中では「ごみゼロ」に貢献する活動で、これまでに展開しているさまざまなアプローチに加えて、日本におけるプラスチック包装容器への再生プラスチックの活用を本格化することで、プラスチック循環社会の実現を目指していく。

 社会的課題の1つであるプラスチックごみ問題に対して同社はこれまでも、プラスチック包装容器の薄肉化、つめかえ・つけかえの促進と大容量化、内容物の濃縮化、フィルム素材の本品容器での活用などによって貢献してきた。

 2018年には、プラスチック包装容器に関する姿勢をまとめた「私たちのプラスチック包装容器宣言」を公表。また、2019年9月には、プラスチック循環社会の実現に向けて「リデュースイノベーション」「リサイクルイノベーション」に注力していくことも発表している。
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