ライオンは、脱炭素社会と資源循環型社会の実現を目指し、多方面から取り組みを進めている。
CO₂削減のため、国内外の工場、オフィスなどの事業所活動において、徹底的な省エネ活動を進めているほか、自家消費用太陽光発電設備の導入を進め、再エネ電力の供給源として運用を開始している。
また、原材料調達から消費者による廃棄までのすべての段階で、温室効果ガスの削減を進めているという。
特に商品使用後に排出されるCO₂削減に着目し、節水や節電につながる商品の開発や、容器の小型化や包装の軽量化、石油原料からCO₂の増加につながらない植物原料への切り替えなどを行っている。
2020年の商品使用後に排出されるCO₂量は、売上高原単位で1990年比55%を削減、絶対量で50%を削減し、2020年目標を達成した。
物流における取り組みにも力を入れている。輸送用トラックの大型化、積載率向上等の物流効率化、工場直送の拡大を通じた輸配送距離の短縮、トラック輸送から鉄道や船舶輸送に変更するモーダルシフトなどにより、CO₂排出量・エネルギー消費原単位の削減に取り組んでいる。
2020年10月からは、花王とともに、両社拠点間の共同往復定期輸送を開始。CO₂削減と同時に、「長距離輸送の効率化」として、ドライバーの負担軽減にも貢献している。
今後も、共同物流の拡大や、中継輸送による労働環境改善など、取引先や物流事業者などの関係者との相互理解と協力のもと、物流環境の改善に取り組んでいく。
今後の課題としては、サプライチェーン全体での協働取り組みをいかに加速させるかということが挙げられるだろう。
さらには、自社の商品ライフサイクルにおけるCO₂削減だけでなく、社会全体のCO₂削減に貢献していくことで、カーボンマイナスあるいはカーボンネガティブを実現していくことが、その先の課題となる。
「世の中に求められる『持続可能な(サステナブルな)企業』とは、経済的発展のみではなく、社会や環境に与える影響を考慮しながら、長期的戦略のもと、継続的な事業活動に取り組む企業と考えている。特に、脱炭素社会は社会全体で達成を目指すテーマであり、個社の努力のみでは実現できない。自社の事業活動におけるCO₂削減を確実に実行していくとともに、生活者をはじめ、サプライチェーン全体での削減に取り組むことが重要であり、あらゆるステークホルダーと協働で脱炭素社会の実現に貢献することを目指していく」(同社)
パンデミックや地球環境問題など、社会環境は大きく変化している。
日本では、高齢化の進行に伴う医療費の増大が深刻な社会問題となり、予防や健康な生活習慣の定着化が益々重要になっている。一方アジアでは、経済発展に伴い、人々の健康意識や快適で衛生的な生活環境へのニーズが高まっている。
「多くの国や地域では様々な課題が残っており、私たちにも更なる事業活動の進化が求められている。今後も、これまで行ってきたよりよい生活習慣づくりで得た幅広い知見と、当社の強みである生活者視点のマーケティング力・研究開発力を駆使し、成長戦略の推進を加速させることで、健康・快適・清潔な毎日とサステナブルな社会の実現に貢献していきたい」(同社)