コーセー、温度応答性のマスカラ素材を開発

粧業日報 2021年9月21日号 1ページ

カンタンに言うと

  • ウォータープルーフ効果とメークオフ機能を高いレベルで両立
コーセー、温度応答性のマスカラ素材を開発
 コーセーは、汗や水に強いウォータープルーフ効果と、洗顔時にお湯で簡単に落とせる機能を高いレベルで両立する新たなマスカラ素材を日本カーバイド工業と共同開発した。

 この研究成果は11月16日発売の「ファシオ パーマネントカール マスカラ ハイブリッド(ボリューム・ロング)」に応用される。

 マスカラは、まつ毛を「カールさせる効果」と、その状態を長時間保つ「カールキープ効果」が重要な基本品質の1つとして求められている。

 このカールキープを崩す要因となる汗や水への耐性を強めたタイプとして「ウォータープルーフタイプ」のマスカラが知られているが、洗顔時に専用のリムーバーが必要であったり、落とす時にまつ毛やまぶたへの負担感があったりすることが課題だった。

 一方、この課題を解決するため、「フィルムタイプ」と呼ばれる簡単に落とせるマスカラも市場に広がっているが、汗や水への耐性が比較的弱いことから「カールキープ効果」が長時間持続しないという課題があった。



 そこで今回、「ウォータープルーフ効果」と「落としやすさ」の両方の機能を高いレベルで併せ持つマスカラの実現を目指し、新素材の開発を行った。

 開発にあたっては、マスカラのウォータープルーフ効果に欠かせない「皮膜形成剤」に着目した。

 その構造の中に、形状を維持する硬い膜になる部分と、動きに追従する柔らかい膜になる部分を併せ持っており、室温ではまつ毛を上向きに固定する硬さと、まばたきの動きに耐える柔軟性を有しているためだ。

 その構造特性を活かし、硬い部分と柔らかい部分の割合・配置を制御し、温度に応答して柔らかさが変化するように設計することに成功。ウォータープルーフ効果がありながらも、洗顔時にお湯で簡単に落とせる機能を見出した。

 新素材を配合した開発品のウォータープルーフ効果とメークオフ効果について検証すべく、ウォータープルーフ効果の検証として、人工皮革に開発品を塗布し、20℃の水に1分浸した後、コットンでこすった。

 その結果、化粧膜は剥がれず、高いウォータープルーフ性を有していることが確認できた。

 メークオフ効果の検証では、従来のウォータープルーフマスカラとの比較を行うため、開発品、従来品をそれぞれ40℃のお湯と洗顔料を混合した液に1分浸した後、コットンでこすった。

 その結果、開発品は簡単に落とすことができたのに対し、従来品では化粧膜をほぼ落とすことができなかった。このことから、今回の開発品はウォータープルーフ効果とメークオフ効果を両立できていることがわかった。



 続いて、新素材を配合したマスカラの実際のカールキープ効果を検証するため、マスカラを塗布し、塗布直後と10時間後のまつ毛のカール度合いを測定した。

 その結果、日中の汗や水の影響を受けることなく、10時間後もカール効果が持続できることが確認できた。

 今後は、マスカラだけでなく、ウォータープルーフ効果とメークオフ効果の両立が求められるアイシャドウやベースメーク製品への応用も検討していく。
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