大日本印刷、脱炭素社会の実現へ「紙製包材」を提案

C&T 2021年9月15日号 16ページ

大日本印刷、脱炭素社会の実現へ「紙製包材」を提案
 大日本印刷(DNP)では、脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会の実現に向けて、「資源の循環」「COの削減」「自然環境の保全」という3つの価値を提供する「DNP 環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING」を展開している。

 特に、脱炭素社会の実現に向けては、2050年度までに自社拠点での事業活動にともなう温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出量を実質ゼロにする目標を掲げるとともに、製品・サービスを通じたGHG排出量の削減を進めている。

 国内外では今、コロナ禍からの経済復興とも関連して地球環境に配慮し、脱炭素社会の実現を目指す考え方が広がり、GHG排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルに向けた動きが加速している。

 2019年5月に日本政府が策定した「プラスチック資源循環戦略」では、「3R(リデュース、リユース、リサイクル)+Renewable」を基本原則とし、バイオマスプラスチックの最大限の使用を目指し、2030年までに約200万t導入する目標も掲げられている。

 こうした動きに対し、GREEN PACKAGINGの取り組みでは、サトウキビから砂糖を精製した際の副産物(廃糖蜜)を原料の一部に使用し、石油由来のプラスチック削減とCO削減を実現する「植物由来包材」と、再生可能資源である紙を使用することでプラスチック使用量を削減する「紙製包材」を開発・提供し、環境負荷の低減を推進している。

 中でも、紙製包材に関しては同重量のガラス瓶やプラスチック製容器包装と比較し、利用事業者が負担する再商品化委託料(リサイクル委託費)が軽減されるほか、積載効率の良さで輸送コスト削減・資材保管スペースが縮小できるといったメリットなどから、引き合いが高まっているという。



 紙製包材のラインナップとしては現在、植物由来のバイオマスプラスチック・バイオマスインキ・森林認証紙の組み合わせを標準化した「DNPロングライフ用液体紙容器」をはじめ、チューブの胴体部分に紙を使用した「DNPラミネートチューブ 紙仕様」、紙マークが付けられるバリア性の高いパッケージ「DNPスーパーハイバリア紙包材」などを提案している。

 DNPロングライフ用液体紙容器は、再生可能資源である紙を活用して高いバリア性を持ち、常温で長期保存できる紙容器で、飲料・アルコール飲料・調味料などの食品分野から、シャンプーなどのトイレタリー用品や化学薬品・農薬等の非食品分野まで幅広い用途に対応できるという。

 DNPラミネートチューブ 紙仕様は、紙のもつ温かみやナチュラル感をいかした外観での差別化や、紙がもつ保形性により、最後まで内容物を絞り出しやすいという使用性の向上を実現。さらに、紙の使用とあわせて、バイオマスポリエチレンを使用することにより、全体のうちキャップを除く約75%を植物由来材料で代替することが可能だ。



 DNPスーパーハイバリア紙包材は、同社独自の高いコンバーティング技術によって、紙とシーラントからなる2層構成ながらもアルミ蒸着PETフィルムと同等レベルの酸素・水蒸気に対する高いバリア性を誇り、一次包材としても使用できるという。

 3層フィルムパッケージからの切り替えにより、プラスチック使用量を約50%削減するほか、LCA(ライフサイクルアセスメント)におけるCO排出量も約20~35%削減できることを確認している。

 「企業においては、ESGに配慮した経営が求められており、持続可能な社会の実現に向けて気候変動への対応と循環型社会の構築といった、環境視点の重要性が高まっている。そうした中で、当社では持続可能な社会の実現に貢献していく価値が評価され、東京都が主催する東京金融賞2020のESG投資部門(SDGsカテゴリ)を受賞した。DNPでは、事業を通じた環境への貢献度合いを可視化する取り組みの1つとして、LCAによる環境負荷削減効果の見える化を進めている。2020年度はコロナ禍の影響で一部製品の需要が落ち込む中でも、前年度以上のCO削減を実現した。今年度よりバイオマスインキを使用した製品のCO削減量もあわせて算出し、統計を開始した2018年度からの累計では8800t以上の削減となる。こうした数値はESG経営において非常に重要なエビデンスとなり、GREEN PACKAGINGを通じてクライアント企業のESG経営をパッケージの面から支援していく」(同社)
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