アルビオン、研究・生産体制の強化で真摯なものづくりを進化

週刊粧業 2021年10月25日号 6ページ

カンタンに言うと

  • 魅力ある化粧品の開発には手間暇をかけることが重要
  • 北は白神、南は沖縄まで研究所を戦略的に配置
  • 生産力の向上と品質強化を両立することが重要
  • 植物研究のさらなる進化と先端技術の応用を推進
  • 物流・SCMとも緊密に連携し生産から販売までDX化を推進
アルビオン、研究・生産体制の強化で真摯なものづくりを進化


北は白神、南は沖縄まで
研究所を戦略的に配置

 ――それ以外の研究拠点における取り組みを教えてください。

 伊藤 沖縄研究所とスリランカ伝統植物研究所はともに熱帯地方に位置し、海に囲まれた島であるという共通項があり、外来種に駆逐されることなく、数多くの固有種が生育しています。

 こうした珍しい固有種から差別化された原料を開発し、商品の魅力をさらに高めることに取り組むとともに、現地の協力者がより付加価値の高い産業を興すことにも積極的に関与していくことで地場産業の活性化にも貢献していきたいと考えています。

 北に位置する白神研究所と、南に位置する沖縄研究所・スリランカ伝統植物研究所では、気候が大きく異なるので、有効成分の効果も違ったものになります。

 実際、北方の植物は極寒を耐えるために生み出される成分がモイスチャー商品で、南方の植物は強烈な日差しに負けないために生成される抗酸化成分がホワイトニング商品で活かされています。

 研究所を北から南まで戦略的に配置し、気候のバリエーションを幅広くもつ当社ならではの強みを活かすことで、植物研究にさらに磨きをかけていきます。

 ――製品研究について教えてください。

 伊藤 製品研究は、「丹念に作り上げる」を具現化する中核的な研究であり、東日本橋研究所、横浜研究室がその役割を担っています。

 当社の原点である「素肌と生きる」は、「素肌」に寄り添い、「素肌」で感じ、「素肌」で考える「肌実感」「効果実感」からはじまる商品づくりへの姿勢を表しています。よって製品研究では、理屈や理論よりも、感触にこだわって処方開発をプランニングしています。最近では、皮膚浸透成分の開発・製剤化に意欲的に取り組んでおり、得られた成果については学会で発表しています。

 一方、差別化された商品を開発するためには、優れた機械・機器の導入が欠かせません。そのため、コロナ禍においても積極的な投資を行っています。最終製品までこぎつけてはじめて研究成果が活きてくるため、ラボから実機へのスケールアップも含めて工場と連携しながら製品研究を突き詰めています。

 横浜研究室は、オープンラボとエステを併設した新業態店「アルビオン フィロソフィ」の中にあり、化粧品原料の調合や肌効果の研究を一部公開しながら行っているほか、専用機器による詳細な肌分析を無料で提供するなど、とてもユニークな取り組みを行っています。

 美容部員の経験のある研究員が肌分析サービスを通じて、当社の掲げている「透明感のあるしなやかな肌」について日々研究を続けており、ノウハウを積み上げています。

 実際、肌分析の後にアドバイスを受けた場合は、商品への納得性が高まるため、次の来店が待ち遠しくなり、結果として美容部員のカウンセリングを受けただけの場合と比べ、購入単価が約2倍に高まるといった検証結果が出てきています。

 研究拠点の1つとして、原料の配合検討や製造工程の検討など基礎研究を行いつつも、研究と売場の連動性を検証していくことで、売上への貢献や新たなサービスの開発にも挑戦していきたいと考えています。

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