花王は、2022年2月より、蚊から未来の命を守るプロジェクトを発足し、蚊による感染症・デング熱被害削減の取り組みを本格的に進めていく。その一環として、花王独自の技術を応用した製品を開発した。
まずはタイ保健省にその製品を含め650万タイバーツを寄付し、同省と協働して、2022年2月から8万個をタイ国内で配布する。さらに、プロジェクトではデング熱に関する啓発活動や実証実験、研究活動などを包括的に推進していく。
蚊が媒介する感染症の1つであるデング熱は、東南アジア諸国などにおいて長年の社会問題であり、タイでは感染者数が年々増加し、温暖化の影響で世界に広がりつつある。花王は今回配布する製品を「Bioré GUARD Mos Block Serum(ビオレガード モスブロックセラム)」として将来タイで発売することを予定しており、肌を守ることで「未来の命を守る」という使命の実現を目指す。
花王インダストリアル(タイランド)は、2021年6月にタイ保健省疾病対策局媒介感染症課(DVBD)、タイ工業団地公社(IEAT)などと、デング熱の蔓延を抑えることを目的とした、タイ政府と官民一体の共同事業を立ち上げた。
この共同事業では、タイ東部のチョンブリ県ノンマイデーン地区などをパイロットエリアとして選定。同エリアは工業地帯で人の流入が多く、人口密度も高いのが特徴で、毎年デング熱の発生が確認されている。今後は協業者・地域コミュニティとともに、デング熱の啓発活動や、ボウフラの発生を減らすための適切な廃棄物処理システムの整備など、さまざまな取り組みを展開していく。
また花王は、NECTECが開発した、デング熱に関する最新情報を発信するモバイルアプリ「RooTan」への協賛を通じて、人々に正しい知識を提供し、蔓延防止に取り組む。このアプリは、デング熱の発生とリスクに関する情報をリアルタイムで提供するほか、最新の健康関連情報も発信。たとえば、現在地や選択した地域におけるデング熱の感染リスク状況、PM2.5の濃度や暑さ指数など、さまざまな情報を得ることができる。これらの活動の成果については、DVBD、NECTECとともに適宜検証を進め、タイにおけるデング熱減少に貢献していく。
プロジェクト発足にあたり、花王 執行役員 コンシューマープロダクツ事業統括部門 ヘルス&ビューティケア事業部門長の塗谷弘太郎氏は、「中期経営戦略『K25』では『未来の命を守る会社になる』という方向性を示しているが、このプロジェクトは具体的取り組みの第1弾だ。将来的にはこの取り組みを、蚊を媒介するさまざまな感染症に悩む他のアジア地域へも拡大し、さらには困っている人々を助ける新たなビジネスモデルを構築していく」とコメントしている。