コーセー、ヘアカラーの褪色を抑制するシャンプーを開発

粧業日報 2022年1月11日号 1ページ

カンタンに言うと

  • イオンの引力で毛髪に付着する独自原料でコーティング
コーセー、ヘアカラーの褪色を抑制するシャンプーを開発
 コーセーは、同社独自原料であるカチオン性アクリルシリコーン樹脂(ポリクオタニウム-104)をシャンプーに配合することで、髪表面のダメージを補修し、ヘアカラーの褪色を効果的に抑制する製剤技術を開発した。同研究成果は日本化粧品技術者会(SCCJ)第86回研究討論会(2021年7月15日、オンライン開催)にて発表し、特許を出願している。

 ヘアカラーに関する生活者の不満の1つに、「染めた髪色がすぐに褪色してしまい長持ちしないこと」が挙げられる。これは、シャンプーで洗髪をする際に、汚れだけでなく色素まで洗い流してしまうことが大きな要因で、特にカラーリングを繰り返す等で毛髪がダメージを受け、キューティクルの隙間が開いていると、色素が流出しやすく、より早く褪色してしまう傾向にある。

 そこでこの課題を解決すべく、シャンプーでの洗髪と同時に毛髪表面をコートし、キューティクルを補修することで褪色を抑制する技術開発を行った。

 今回のキー素材であるカチオン性アクリルシリコーン樹脂「ポリクオタニウム-104」は、プラスの電荷を帯びているため、マイナスの電荷を帯びている毛髪表面への付着性が高く、さらにはゴムのような柔軟性があるため、キューティクルを被覆する補修力が高いことから選定した。

 これまでこの素材は独自原料としてヘアスタイリング剤などへ配合してきたが、今回はその特長をカラーキープシャンプーに応用すべく製剤開発を行った。

 ポリクオタニウム-104をシャンプーに配合した開発品の毛髪表面の補修効果を検証した。同社従来品と開発品を使用してダメージ毛髪を洗髪し、毛髪表面・毛髪断面の微細な表面形状を走査型電子顕微鏡 (SEM)にて観察した結果、シャンプー前や従来品では「めくれ」が目立っていたキューティクルが、開発品では綺麗に整っており、優れた補修効果があることを確認した。

 さらに、開発品のヘアカラーの褪色抑制効果を検証した。同社従来品と開発品のシャンプーを用いて赤色のカラー剤で染色した毛髪を洗髪し、その後ドライヤーにて乾燥させる工程を合計7セット行った後、外観を比較した。その結果、開発品は従来品よりも褪色が抑制できていることを確認した。

 今回の研究により、ヘアカラーした髪色が長持ちしないという悩みに対する有効な解決手段を見出すことができたことから、この成果をシャンプーをはじめとするヘアケア製品へ応用していく。
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