一丸ファルコスは、「肌フローラ(皮膚常在菌叢)」関連の研究を進め、開発原料の中から肌フローラに好影響をもたらす原料を見出し、ニューノーマル時代に欠かせない付加価値機能として紹介を進めている。
開発・国際担当のアルナシリ・イダマルゴダ常務執行役員に話を聞いた。
――コロナ禍の生活変化で特に注目している分野はありますか。
アルナシリ コロナ禍のマスク生活で肌トラブルに悩む生活者が増えた影響で、「マイクロバイオーム(微生物叢)」あるいは「肌フローラ(皮膚常在菌)」に関する原料ニーズが高まっている。
当社は、乳酸菌由来の原料開発を契機に肌フローラ関連の研究を行える設備環境を整え、17年に「ラ・フローラ EC-12」を、20年に中国INCIに対応する「ラ・フローラ K-1」を発売し、国内外に展開している。
コロナ禍の研究成果として、マスク生活で生じる肌あれやニキビなどの皮膚トラブルに対して、ラ・フローラ原料が肌フローラのバランスを整えることで皮膚トラブルの予防・改善が期待できることを確認し、紹介を進めている。
マスク生活に有効なスキンケアについては、皮膚科医師や化粧品メーカーの協力を得て臨床系のデータも揃え、21年9月に開催された第57回SCCJセミナーで「マスクの下のスキンケア」をテーマに講演も行った。
――なぜ「肌フローラ」への注目が高まっているのでしょう。
アルナシリ 肌フローラは、マスク着用による肌トラブルをケアするという限定的なニーズではなく、ポストコロナ時代を迎えても重要な美肌テーマであるからだと思う。
肌フローラは、美白やシワ、シミなどの研究と異なり、朝・日中・夜のその時々で菌の状態が変化し、また、身体の部位によっても菌の数や種類が異なる。そういった点では、エビデンスの確保が難しい領域でもある。
そうした中、化粧品の肌フローラへの影響を認証評価するドイツの第三者機関MyMicrobiome社の「Mycrobiome friendly(マイクロバイオーム・フレンドリー)」の認証制度を取り入れた。
先行事例として、企業によって基準があいまいだったオーガニックコスメは、今では第三者認証が信頼性確保に欠かせないものになってきている。
マイクロバイオームや肌フローラについても第三者による評価や認証が必要だと考えるグローバル企業は多く、認証取得に動いている。
当社もラ・フローラのほか、ソープナッツエキスパウダーや和美乃盆盆など6製品でマイクロバイオーム・フレンドリー認証を取得した。
ただ、重要なのは、最終製品が肌フローラに与える影響である。認証取得原料を紹介しながら、最終製品での認証取得も推奨し、一緒に肌フローラ系コスメの市場を盛り上げていきたい。