バスクリン、タンニン酸配合入浴剤の研究論文で快挙

粧業日報 2022年1月19日号 5ページ

バスクリン、タンニン酸配合入浴剤の研究論文で快挙
 入浴剤メーカーのバスクリンは、広島大学病院特別顧問の秀道広氏(広島大学医学部客員教授、元広島大学大学院医系科学研究科(皮膚科)教授)との共同研究でまとめた論文「アトピー性皮膚患者に対する入浴剤のタンニン酸の作用」で、このほど日本皮膚免疫アレルギー学会の最優秀論文賞を受賞した。

 同論文は日本皮膚免疫アレルギー学会欧文学会誌(JCIA)に掲載されており、2021年11月26日の第51回日本皮膚免疫アレルギー学会総会学術大会にて受賞講演を行っている。

 同社は、「入浴剤を使用することが一般的な作用だけでなく、医療の分野で医師の処方する医薬品による治療を補助し、さらには相乗的な役割を担い得るスキンケアとして、皮膚トラブルで悩む人に貢献できるとうれしい」と受賞のコメントを寄せている。

 アトピー性皮膚炎は、顔や肘の内側、膝の裏側など、汗をかきやすかったり、汗がたまりやすかったりするところに症状が現れやすい特徴が知られている。この特徴は、汗中の抗原がアトピー性皮膚炎に対する悪化因子として作用し、即時型アレルギー反応を起こすことによるものと考えられる。

 共同研究では、生薬や植物成分の中から、汗中の抗原を中和させる成分を探索し、生薬の五倍子(ごばいし)から得られるタンニン酸に優れた効果があることを見出した。タンニン酸が皮膚表面に吸着し、汗中の抗原を中和することで皮膚マスト細胞からのヒスタミン遊離を抑制し、かゆみを軽減させることが期待できる。

 入浴剤は、全身の皮膚に対して容易に有効な成分を作用させることができる。そこで、汗中の抗原を「タンニン酸」で中和させるという新たなメカニズムにより、アトピー性皮膚炎の症状が改善することを確認するため、「タンニン酸を配合した入浴剤」と「タンニン酸を配合しない入浴剤」による試験を実施した。

 その結果、タンニン酸配合入浴剤の使用時は、タンニン酸無配合の入浴剤使用時に比べ、軽症から中等症の患者の夜間におけるかゆみの有意な低下が認められた。また、タンニン酸配合入浴剤の2週間の使用前後で、夜間および日中のかゆみが有意に軽減することが確認された。

 以上から、タンニン酸配合入浴剤の使用により、日常の入浴を通して手軽にアトピー性皮膚炎のかゆみを抑制し、かきむしりによる皮膚のダメージを抑え、薬剤の治療効果が高まるとともに、アトピー性皮膚炎患者のQOLを高めることが期待できる。
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