サンスター、肺膿瘍・膿胸菌が口腔内細菌に由来することを証明

粧業日報 2022年3月23日号 4ページ

カンタンに言うと

  • 細菌と疾患との関わり研究、予防法などへの応用も視野に
サンスター、肺膿瘍・膿胸菌が口腔内細菌に由来することを証明
 サンスターは、独立行政法人国立病院機構・姫路医療センター呼吸器内科の勝田倫子医師らのグループとの共同研究で、肺膿瘍・膿胸から採取した膿の中の細菌と口腔の細菌とが遺伝子的に一致することを確かめることに成功した。この研究成果をまとめた論文は2月16日に米国の細菌学会誌であるMicrobiology Spectrumにオンライン公開された。

 この結果から、今まで状況証拠しかなかった口腔の細菌が肺に感染症を起こし得ることの確実な証拠が示され、口腔内を清潔に保つことの重要性を確認するとともに、研究に用いた手法が幅広い研究に寄与する可能性が示唆された。

 膿胸の検体を経皮的に採取することは容易だが、肺膿瘍の場合は従来、口から入れた気管支鏡を使ってサンプルを採取する方法が行われてきた。しかしこの方法ではサンプルが口腔の細菌に汚染される可能性があり、同社では以前から、肺の病巣に対して経皮的に細い針を刺して1回の息止めの間にサンプルを採取するという技術を、肺の病気の診断に活用してきた。肺膿瘍の診断にもこの方法を使い口腔細菌の汚染なくサンプルを採取し、正しく原因菌を決定することで適切な抗菌薬の選択を行ってきたが、この方法が今回の研究にも大きく寄与した。

 また、口腔内にいる無数の菌の中に肺膿瘍や膿胸から検出した菌と遺伝子が全く一致する菌が存在するか否かを調べることは今まで困難であったが、新手法の開発によりそれらの課題をクリアした。

 肺膿瘍や膿胸が口腔内細菌に起因するということは、従来、状況証拠のみに基づく「医学の常識」だったが、今回の研究はこの常識に絶対的な根拠を与えるものであり、口腔内細菌叢と他臓器感染症との関連性を証明する新たな手法は画期的だという。

 人体には口腔だけでなく腸、皮膚、膣などにも細菌叢が存在し、さらに環境の中にも土壌、建築内などにも細菌叢があり、これらと疾患との関わり、さらに予防法などについての研究がさらに進むことが期待される。
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