一丸ファルコス、アルニカ花エキスにトーンアップ作用を発見

　化粧品・医薬部外品、健康食品分野の機能性原料の研究開発メーカーである一丸ファルコスは、2021年春に発売した天然化粧品原料「アデプルン」に、肌のボリュームアップ効果に加え、肌の明るさを改善するトーンアップ効果が期待できるデータを新たに取得した。

　真皮層の下には肌のツヤや弾力をもたらす脂肪細胞が存在する。脂肪細胞は加齢や紫外線によって退縮・減少し、シワが目立ち肌の印象も暗くなる（しぼみ肌）。

　「アデプルン」は、抗炎症効果や血液循環作用をもつメディカルハーブとして古来より使用されているキク科・アルニカ花から抽出したエキスで、脂肪細胞を増やす働きを持ち、脂肪層をボリュームアップさせ、肌のハリと弾力の向上により「プルン肌」へと導く。同社はアルニカ花の抽出物（アデプルン）がヒト脂肪細胞に作用することを初めて見出し（特許出願済）、21年5月に新規原料として紹介を開始した。外原規、IECIC2021に適合し、COSMOS APPROVEDを取得している。

　従来の研究にて、1%アデプルンを1日3回、4週間塗布することにより、4週間後に唇のボリュームアップ効果を確認しているほか、頬のリフトアップなども確認している。

　同社では、アデプルンのボリュームアップ効果が肌のトーンアップにも効果があることを見出した。ヒトモニター試験において、ボリュームアップ効果が見られた部位においては肌表面の凹凸の改善が認められた。唇においては1%アデプルンの塗布よりしわの減少が認められたほか、明度の上昇（トーンアップ）が確認された（表）。

　以上から、「アデプルン」は、ボリュームアップによりシワや凹凸が改善し、なめらかな肌になることで陰影が少なくなると考え、肌の明るさや透明感がアップへの提案を進めている。

　また同社は、外的環境要因による肌へのダメージに着目し、紫外線だけでなく、花粉やPM2.5、排ガス、タバコの煙など様々な環境ストレスによる肌への影響についても研究を進めている。

　これまでの研究で、「ファルコレックスドクダミB」や「オウゴンリキッドB」に、上記の環境ストレスから肌を護る効果を見出しており、ポリューションケア（環境ストレスケア）原料として紹介を進めている。

　さらに、パソコンやスマートフォンに使用されるLEDライトの青色光（ブルーライト、波長380nm～495nm）の照射によって肌へのダメージがあることを突き止め、ビルベリー葉エキス「キュアベリー」にブルーライト照射による肌へのダメージを軽減する効果を確認し、ブルーライトケア原料として紹介を進めている。

　同社は、健康食品原料の研究においても、美容系機能の探索を進めており、このほど保湿系の機能性表示食品に対応する国産コメ由来グルコシルセラミド「フィトセラマイドシリーズ」に、新たに美白作用が確認された。21年秋に都内で開催された食品開発展で「飲む美白ケア」として紹介して認知拡大を図った。

　セラミドは、細胞間脂質の主成分であり、肌の保湿とバリア機能を維持する役割を担っている。アトピー性皮膚炎はセラミド量の減少が要因とされており、また、冬季の荒れ肌や加齢によってセラミド量は減少してしまう。

　同社が開発した「フィトセラマイド」は、国産米を使用したコメ由来グルコシルセラミドで、2006年には、経口摂取により角層細胞間脂質中のセラミド量を増加させることを世界で初めて確認し、国際学会などで研究発表を行った。

　コメ由来経口摂取による肌への有用性については、コメ由来グルコシルセラミドを4週間摂取後の肌は、コントロールに比べ、角質水分量が有意に上昇することが確認された。また、経表皮水分蒸散量については、摂取2週間後に蒸散量の減少が見られ、4週間後には有意な減少が見られた。

　機能性表示食品素材である「フィトセラNW-10」は1日1.8mgの摂取で肌の経皮水分蒸散量の低下（バリア機能改善）作用が報告されており、「肌の保湿力（バリア機能）を高め、肌の調子を整える」といったヘルスクレーム表示が可能となっている。

　今回、30～50代男女10名を対象に、1.2gコメ由来グルコシルセラミド配合カプセルを2週間経口摂取し、肌のメラニン濃度と明度を調べた。摂取2週間後の肌は、摂取前に比べ、メラニン濃度が減少し、明度が上昇する美白効果が確認された。また、肌表面の凹凸（粗さ）が減少し、なめらかな肌の面積が拡大し、キメも改善することも認められた（表）。