資生堂、乾燥環境に対する肌本来の適応メカニズムを解明

粧業日報 2022年6月6日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 乾燥環境にて肌の保湿力を維持する化粧品の開発へ
  • 独自成分「アクアインプール」にNMF産生酵素の発現を促す効果を発見
資生堂、乾燥環境に対する肌本来の適応メカニズムを解明
 資生堂は、乾燥環境において、肌本来に備わる「環境と共生する保湿力」により、肌内部で天然保湿因子(NMF)を生み出す酵素(PAD1)の産生が促進されることを発見した。また、PAD1の産生を高め、肌本来の保湿力をサポートする成分を新たに見出した。

 今後、乾燥環境への適応力・抵抗力を高め、健やかで美しい肌を維持する化粧品の開発を目指す。なお、同研究成果の一部は「第46回 日本研究皮膚科学会」(2021年12月3~5日)にて発表した。

 同社は、自然環境の変化が顕著な現代社会において、「環境を受け入れて調和し美を実現する」という新発想の技術をさらに進化させ、第1弾の紫外線との共生技術、今回の低湿・低温度といった環境要素に続き、今後も様々な環境を味方にする技術の開発に挑戦していく。

独自成分「アクアインプール」に
NMF産生酵素の発現を促す効果を発見

 高温時の発汗作用や、紫外線暴露時のメラニン産生など、肌は外的環境に対する適応力を進化とともに獲得してきたが、これまで低湿・低温度がもたらす乾燥環境下における肌の適応力については十分に明らかになっていなかった。

 そこで同社は、40年以上にもわたる、肌の天然保湿因子NMF産生経路に関する研究知見を活かし、肌本来の乾燥環境に対する適応メカニズムを明らかにすべく、新たな研究に取り組んだ。

 肌のうるおいを維持するために必要不可欠なNMFは、肌を構成するタンパク質「フィラグリン」や「汗」といった経路から主に供給されている。今回、夏と冬における同一人物のNMF存在量を比較した結果、フィラグリン由来NMFは夏よりも冬に多く存在していることがわかり、汗量の減る冬に不足しがちなNMFがフィラグリン由来で補われていることが示唆された。

 さらに、フィラグリン由来NMFの季節変動メカニズムを探るために、夏と冬における同一人物のNMF産生酵素を解析したところ、NMF産生を促進するPAD1活性も同様に冬に高まることを発見した。実際に、細胞を用いた実験では、PAD1の発現が、低湿・低温度環境において上昇することを確認している。

 以上により、肌は低湿・低温度がもたらす乾燥環境に適応するため、NMF産生酵素PAD1の産生を促進することで、肌本来の保湿力を高めていることが明らかになった。

 続いて、環境適応性保湿力の鍵となるPAD1の発現を促進する成分を探索した結果、独自開発成分であるアクアインプールにPAD1産生促進効果があることを見出すとともに、同様の効果をもつ植物エキスを複数見出した。

 これらの成分により、乾燥環境に対する肌本来の適応力がさらに高まることが期待される。
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