アルビオン、稀少植物クロユリのクローン大量増殖に成功

粧業日報 2022年9月26日号 3ページ

カンタンに言うと

  • 抽出エキスにヒアルロン酸の合成促進や美白などの美容効果を確認
アルビオン、稀少植物クロユリのクローン大量増殖に成功
 アルビオンは、稀少な高山植物であるクロユリをクローンとして大量に増殖させることに成功した。また、抽出したエキスにはヒアルロン酸の合成促進や美白などの美容効果があることを明らかにした。なお、研究成果については、日本生薬学会第68回年会にて発表した。

 クロユリは、北海道や本州の中部地方以北の高山で生育している高山植物で、同一種であるユリ科バイモ属には生薬として利用されるものが知られているが、世界的に数が減少している。同社ではこれまでに、クロユリを化粧品原料として活用することを目指してきたが、暑さに弱く、生育地域が限られ、種子からの栽培も難しく、生育に4~5年と非常に時間がかかることから、エキスを大量に獲得することがとても困難な状況にあった。そこで、植物の組織培養技術によってクローンを大量生産できる仕組みを独自に確立できれば、そこからエキスを抽出することは可能と考え、研究に取り組んだ。

 自然栽培に時間がかかるクロユリを原料開発の材料とする場合、研究圃場での栽培や増産が困難であることから、植物バイオテクノロジーにより、ごく少数の個体から多くのクローンを作り出すことができれば、大変有効な手段となり得る。そこで、鱗片の一部を組織培養することで胚形成が可能なカルスをつくり、それらから大量に誘導したクローンよりエキスを取り出す開発スキームを確立することに成功した。このクローンを秋に畑へ植えたところ、5カ月間、雪の下におかれたものの、翌春には一斉に芽吹き、大量生産が可能であることが確認できた。

 試験では、クロユリのカルスとクローンから抽出したエキスをヒトの皮膚に由来する培養線維芽細胞へ添加し、美容に関する遺伝子の発現量の変化をリアルタイムPCRで解析した。その結果、特にクローンのエキスにはヒアルロン酸の合成促進、抗がん性の増大、細胞増殖亢進能の増大などの効果があることがわかった。

 次に、クロユリのカルスとクローンから抽出したエキスを培養表皮角化細胞へ添加し、美容に関する遺伝子の発現量の変化をリアルタイムPCRで解析した。その結果、特にカルスのエキスには遺伝子修復の促進、幹細胞性の補強、美白などの効果があることが明らかとなった。

 以上により、カルスとクローンから得られたエキスは、もとのクロユリの葉や花、鱗片エキスよりも高い美容効果を示すことが明らかになった。この研究で作り出したクロユリのカルスやクローンからエキスを取り出し、有用な化粧品原料の開発、さらには同エキスを配合した機能性化粧品の開発に努めていく。
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