大日本印刷、容器のライフサイクル全体でCO₂排出量を可視化

C&T 2022年9月15日号 16ページ

大日本印刷、容器のライフサイクル全体でCO₂排出量を可視化
 大日本印刷(DNP)は、地球環境への負荷低減に向けて、独自の「DNP環境配慮パッケージングGREEN PACKAGING」(以下、GREEN PACKAGING)の開発・提供を強化している。

 事業活動と地球環境の共生を考え、環境問題への対応を重要な経営課題の1つに位置づけている同社では、2018年に環境配慮パッケージシリーズとして「GREEN PACKAGING」をブランド化し、「CO₂の削減」「資源の循環」「自然環境の保全」という3つの価値を社会に提供してきた。

 そうした中で、今年4月には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、プラスチック使用製品の設計段階における「3R(Reduce・Reuse・Recycle)+Renewable(持続可能な資源)」の取り組みを促進する「プラスチック使用製品設計指針」が定められた。

 こうした動きに対してDNPでは、ライフサイクル全体での環境配慮に資する設計指針と指標を設定し、加えて、2030年度の包装関連製品売上における「GREEN PACKAGING」比率を100%にする目標を掲げた。



 GREEN PACKAGINGの主なラインアップは、植物由来のバイオマスプラスチックを使用したパッケージ「植物由来包材バイオマテック」を筆頭に、再生可能資源である紙を使用することでプラスチック使用量を削減する「機能性紙パッケージ」、さらには高いバリア性と、軽い・割れにくいなどの実用性、意匠性とリサイクル性を両立した機能性フィルム複合型PETボトル「COMPLEX BOTTLE(以下、コンプレックスボトル)」などがある。

 いずれも近年、化粧品・日用品業界での採用実績が着実に広がりをみせており、このうち機能性紙パッケージでは、チューブの胴体部分に紙を使用した「DNPラミネートチューブ 紙仕様」が、資生堂で採用された。

 同社が、88の国と地域で展開しているブランド「SHIESIDO」のEMEA向けのサンケア製品「Expert Sun Protector Face Cream SPF 50+」「After Sun Intensive Damage SOS Emulsion」の2種である。

 DNPラミネートチューブ 紙仕様は、クラフト紙を使用することで、紙ならではの外観や剛性(腰感)をさらに生かし、ラミネートチューブの使い勝手を併せ持ちながら、環境負荷の低減につながる仕様へと改良した。

 その結果、紙の使用によって石油由来のプラスチックの使用量を20%削減し、製品のライフサイクル全体でCO₂排出量の15%削減を実現した。

 また、クラフト紙を使用することで、生活者が店舗などで見ただけで紙を使用していることがわかりやすくなり、環境に配慮した企業や製品であるといったブランド価値の向上にもつながる。

 コンプレックスボトルは、PETボトルと機能性フィルムを一体成形することで高いバリア性と意匠性を実現したPETボトルで、世界的なeコマース市場の成長を背景に、ガラスびんの代替として輸送コスト削減・破損トラブル防止などのメリットが評価されている。

 また、容器包装リサイクル法に適合したPETボトルリサイクルができる環境に配慮した容器で、使用後は外側のフィルムを剥がして透明なPETボトルとして分別が可能だ。

 さらに、微細な意匠表現が可能なため、ブランド独自の表現の可能性が広がるほか、ポンプ式やスプレー式など、さまざまな既成キャップとの組み合わせで、幅広い製品用途にも対応できるという。

 「化粧品の本体容器は見た目が美しく、詰め替えて何度も使うケースもあるため、リユースとリサイクルを促進するといった視点でのパッケージ提案が重要になる。化粧品容器でのPETボトルのリサイクルスキームは未だ確立されていないが、リサイクルが可能でかつ意匠性の高いコンプレックスボトルを通じて、化粧品業界において将来的なリユースとリサイクルの促進へとつなげていきたい」(同社)

 今後の取り組みとしては、今年4月より本格的に運用を開始し、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の「SuMPO/第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度」の認証を取得した「DNPライフサイクルCO₂認証システム」を通じて、同社が取り扱うパッケージのライフサイクル全体でのCO₂排出量を可視化し、第三者承認済みの算定結果を企業・団体等へと提供していく。

 同システムは、算定ガイドラインの作成や内部検証員の設置などのマネジメント体制と自動算定ツールについてSuMPOによる認証を得たもので、ステークホルダーに提供する算定結果は、SuMPOの承認済みとなるため、第三者認証に要する時間と費用が削減できる。

 また、企業などのCO₂削減目標に対して、パッケージが占める割合や環境配慮包材を使用した場合の削減度合いなどの把握が可能になる。

 DNPではこのほか、資本参加しているアールプラスジャパンでの使用済みプラスチックの再資源化をはじめ、再生プラスチックの新たな価値を創造し、さらなる用途の拡大に努めていく。
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