花王、くすんだ唇でも鮮やかに美しく発色する口紅を開発

粧業日報 2022年11月21日号 5ページ

花王、くすんだ唇でも鮮やかに美しく発色する口紅を開発
 花王は、口紅を塗った時に、期待した発色と違うと感じる人が少なくないことから、「もともとの唇の色」に着目し、唇にくすみ悩みを持っている人でも鮮やかな口紅の発色が得られる技術を開発した。

 同社では、唇の色はさまざまであることに着目し、日本人の見た目の唇の色が「赤く鮮やか」「赤みがない」「彩度が低い」「暗い」という特徴を有する4つのグループに分けられることをこれまでの研究で把握しており、さらに研究を深掘りしていくと、口紅の塗膜は半透明なので、唇の色の影響を受けてしまうことから、特に彩度と明度の低いくすんだ唇は、口紅の発色もくすんだ仕上がりになることがわかった。

 研究では、くすみのない唇とくすんだ唇に口紅を塗布した際の仕上がりの差を光学的に解析し、くすんだ唇では、特に赤色領域の発色が不足していることを見出した。この結果を受けて同社は、くすんだ唇でも赤の発色を向上させる技術を検討した。その結果、赤色領域の散乱が選択的に増大する光学物性(散乱係数)をもつ色材を使用するのが有効であることがわかった。

 赤を発色させるには、一般的に、光を吸収・散乱して発色する赤顔料が用いられるが、赤色領域の散乱係数は最大値から減少していく。つまり、赤色領域の散乱を高いまま維持することができないため、赤色顔料を増やしても、くすんだ唇では「くすんだ赤」の発色に見える。また、シャボン玉がさまざまな色みに見えるのと同様の現象(光の干渉)により、赤色に発色する赤干渉パール顔料もよく知られた赤色材で、その散乱係数は、赤色領域で高いまま維持するものの、緑色領域付近から増大していく。つまり赤色領域の散乱のみを増大することはできず、白っぽい赤の発色に見えてしまう。

 そこで、赤顔料と赤干渉パール顔料を組み合わせたところ、緑色領域付近の散乱を抑え、かつ赤色領域の散乱を維持し、赤色領域の散乱が選択的に増大する光学物性が得られることがわかった。このような赤色材を応用し、不足していた赤色領域の発色を補うことで、くすんだ唇でもくすみのない唇に口紅を塗布した時の発色と同様の塗膜をつくれると考えられる。

 さらに、口紅へ配合する場合には、赤干渉パール顔料の表面に赤顔料を付着させた「赤顔料被覆パール顔料」を用いることで、発色が最も効果的に得られることを見出した。この色材を配合した口紅を塗布すると、くすんだ唇でも鮮やかな発色が確認できた。
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