資生堂、タンパク質繊維を用いた化粧品原料を共同開発

粧業日報 2022年11月30日号 5ページ

カンタンに言うと

  • 循環型原料として機能性と持続可能性を両立
資生堂、タンパク質繊維を用いた化粧品原料を共同開発
 資生堂は、日系バイオベンチャーの「Spiber(スパイバー)」が開発した、植物由来のバイオマスを原材料とし、生分解性を有する構造タンパク質「Brewed Protein繊維」をもとに、製品への活用を見据えた化粧品原料の共同開発を行った。スパイバーの原料を配合した化粧品が販売に至るのは、今回が初めてとなる。

 同素材は、環境へ配慮しながら、しなやかで美しいまつ毛を演出するマスカラファイバーとして資生堂の製品に配合するほか、今後同社の製品開発に広く活用を検討していく。

 スパイバーが独自技術によって開発したBrewed Protein繊維は、サトウキビやトウモロコシ由来の糖類など植物由来のバイオマスを主原料に、微生物による発酵プロセスで生産される構造タンパク質繊維で、生分解性が確認されている。これまで衣料品の原材料として多く活用されてきたが、今回、資生堂の強みであるマテリアルサイエンスや、顧客に寄り添った品質への高いこだわりを活かして、共同で化粧品原料の開発に取り組んだ。

 化粧品原料としての安全性、安定性、機能性、使い心地など様々な観点から検討を重ね、Brewed Protein繊維の特徴を維持しながら、マスカラへの配合を実現した。なお、2021年12月にスパイバーは、繊維をはじめとするBrewed Protein素材を化粧品原料として活用することが可能になるINCI名登録を行っている。

 資生堂は企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現に向けて、社名の由来でもある「万物資生」の考え方にもとづき、人、社会、地球環境に対する敬意を示しながら事業活動を進めてきた。

 R&D領域においても、高い機能性を追究しながら持続可能性に配慮した容器包装開発や、天然由来で生分解性の高い原料、廃棄部位を活用したアップサイクル原料の開発、原料の元となる植物の栽培など、「循環型」のものづくりに積極的に取り組んでいる。

 一方、スパイバーは、構造タンパク質「Brewed Protein素材」を開発する山形県鶴岡市に拠点を置く2007年設立のバイオベンチャー。植物由来の糖類を原材料に使用し、微生物による発酵生産技術で次世代の新素材の開発・生産を手がけている。

 タイにて同社初となる量産プラントでBrewed Proteinポリマーの生産を開始しているほか、米国にて協業先のADM社と新たに量産体制を構築しており、早ければ2023年に稼働を開始するという。
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