化粧品・医薬品業界に特化した印刷会社として70年以上の業歴を誇る大光印刷は、FSC認証紙や植物の搾りかす混合紙など環境配慮の提案を幅広く揃えるほか、ラベル印刷や包装仕上げまでワンストップで対応できる環境を整えている。
2022年の振り返りと今後の重点施策について、中村一紀社長に話を伺った。
――前期の成績はいかがでしたか。
中村 22年8月期の業績は、化粧品領域において前期比111%となった。その後の9~11月も前期比114%となり、好調な結果を維持している。
これまではこちらからアプローチする営業が基本となっていたが、コロナ禍をきっかけにインサイドセールスの強化に取り組んだ。
また、ホームページを充実させ、Web広告を強化したところ、北海道など遠い地域からも問い合わせをいただくようになり、効果が表れ始めている。
昨今は、ネット上で拡散されるなど、ふとしたきっかけでD2Cなどの新興ブランドから大量の受注を受けることが増えている。
それに伴い、業界知識の少ない方の新規参入も増加している。当社は箱作り、ラベル印刷から包装仕上げまでを一貫して行っており、そのような方々との相性はよいと考えている。
――今後の重点施策を教えてください。
中村 現在は、サステナブルな取り組みとして、「ラベルの資源循環プロジェクト」を推し進めている。
同プロジェクトは、シールやラベルについている剥離紙をリサイクル可能な資源に置き換える取り組みだ。
剥離紙とは、セパレーターとも呼ばれるラベルが粘着しないようにする台紙のことで、紙の表面にシリコーンやポリエチレンといった樹脂がコーティングされているため、リサイクルが難しく通常は産業廃棄物として燃焼処理されている。
そこでそのラベル剥離紙を、PET合成紙を使用した「専用剥離フィルム」に置き換え、使用後の専用剝離フィルムを資源としてユーザーから回収し、再び剝離フィルムの原料にすることで循環型水平リサイクルのスキームを確立した。
専用剝離フィルムは、東洋紡「カミシャイン」をベースに設計されている。
さらに通常のPETフィルムの比重である1.4から1.0に軽量化しており、リデュースにも貢献している。
当社では、独自の30㎏用回収ボックスを開発している。
基本的に300㎏用のみとなっている回収ボックスだが、比較的生産量の少ない企業でも参画できるよう少量の回収ボックスを開発した。
また化粧品領域の生産能力を強化するため、紙器用印刷機とラベル用印刷機の増設を決定した。
2023年は化粧品市場が大きく盛り上がると予想している。当社も包装の面から業界に貢献していきたい。