花王、頭髪表層に特異的に発生するうねりのメカニズムを解明

粧業日報 2023年1月30日号 5ページ

カンタンに言うと

  • 予防には紫外線防御が有効であることも発見
花王、頭髪表層に特異的に発生するうねりのメカニズムを解明
 花王は、頭髪表層に発生するうねりが毛流れを乱し、髪の印象を損なう原因となっていることを見出し、そのうねりに紫外線が深く関わっていることを発見した。さらに発生メカニズムを調べると、紫外線の影響で毛髪内部の結合が切断され、切断された一部がひずんだ状態で再結合するという、美容室で施術されるパーマの仕組みに似た現象が起きていることを突き止めた。

 うねり発生の一因である紫外線から髪を守ることは、皮膚と同様に重要であることが裏づけられたことから、今後は毛髪に簡便に塗布できる紫外線対策製品の開発などに応用していく。

 毛髪の不規則なうねりは、生まれつきのくせ、ヘアカラーや熱などによるダメージの蓄積が原因と考えられてきたが、今回改めて頭髪の実態を調査した。髪をめくりあげた内側ではうねりが少ない一方、頭髪表層では顕著にうねりが多い傾向がみられたことから、これが髪の印象に大きな影響を与えているのではないかと考え、頭髪表層に特異的に発生するうねりの要因とメカニズムの解明を試みた。

 日中には外出時に太陽光にさらされ、就寝時には枕との接触で毛髪がひずんだ状態のまま時間が経過するという生活実態を踏まえ評価を行った結果、太陽光の照射のみでは毛髪形状に有意な変化はみられなかったが、照射後、毛髪をひずんだ状態で保持すると顕著にうねりが発生し、保持時間が長いほどうねりが強くなることがわかった。一方、太陽光から紫外線を遮断するとうねりの発生が抑えられたことから、紫外線とひずみがうねり発生の大きな要因であることを見出した。

 毛髪を構成するタンパク質に多数存在する、タンパク質をはしごのようにつなぐジスルフィド(S-S)結合が、紫外線の影響で切断されることはこれまでにも報告されているが、うねり発生との因果関係はわかっていなかった。そこで研究では、うねりが発生する過程におけるS-S結合量の変化を、ラマン分光法を用いて経時的に分析した。その結果、太陽光照射時は紫外線の影響でS-S結合が切断されて減少し、その後、急激に増加する過程と、緩やかに増加する過程があることを発見した。さらに、S-S再結合とうねり発生の時間を比較すると、うねりが徐々に強くなる時間と、緩やかに再結合が進行する時間が合致していた。つまり、この緩やかな再結合は、タンパク質間のS-S再結合に対応すると考えられ、うねり発生と連動していることが明らかになった。

 以上のことから、毛髪が紫外線にさらされた後にひずんだ状態におかれると、切断されたS-S結合がひずんだ状態で再結合し、うねりの発生につながったものと考えられる。
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