カンタンに言うと
マツキヨココカラ&カンパニーの子会社であるMCCマネジメントは、美容プラットフォーム「LIPS(リップス)」を運営するAppBrew(アップブリュー)の全株式を2024年12月2日付で取得し、完全子会社化した。
2017年に1月にサービスをローンチしたLIPSは、商品との出合いから比較検討・購入・発信まで、カスタマージャーニーにおける一連のステップをシームレスに体験できる様々な機能を提供し、24年4月に累計1200万ダウンロードを突破した国内最大級の美容に特化したプラットフォームだ。
AppBrewでtoB事業全般の開発責任者として従事している吉野克基取締役に、マツキヨココカラグループ入りの経緯と、LIPSの今後の事業展開についてインタビューした。
――まずは、マツキヨココカラグループ入りの経緯をお聞かせください。
吉野 オンラインだけでサービスを展開してきたLIPSだが、オフラインでも美容感度の高い生活者との接点を持ちたいという構想は長らくあった。ただし、@cosme STOREを運営するアイスタイルリテールさんのように、自社でリアル店舗を抱えるとなると大型な投資を伴うほか、良い立地に出店できたとしてもそれが果たして上手くのかという高い不確実性に直面していた。
早く確実にその構想を実現できる手段や可能性を色々と模索していた中で、1年前からM&Aを介して元々アセットを持っている企業と連携することが最も実現性が高いと考え、24年夏に以前から接点のあったマツキヨココカラとの交渉がスタートした。
先方としても、化粧品に特化したユーザーが多く、購買よりも手前の関心やきっかけを提供しているプラットフォームの豊富なクチコミや行動データを活用できる点にメリットを感じていただいており、お互いのニーズが合致した形で今回グループに入ることになった。
――新体制では、LIPSが展開している事業(プラットフォーム・EC)をどのように進化させていくお考えですか。
吉野 新体制になってLIPSがマツキヨココカラグループのメディアとなるということではなく、今後も化粧品に特化したクチコミメディアとして公正・公平にレビューされる場を保ち続けていくことに変わりはない。
プラットフォームに関しては、一案としてLIPSアプリの機能強化を図り、アプリで商品のバーコードを読み込むとすぐにクチコミが確認できるような、店頭でより使いやすくなる機能を追加していく。それに伴い、マツキヨココカラと商品データベースの整備を進め、店頭在庫や取扱店舗情報など、これまで以上に店頭でLIPSユーザーが参考になるような情報の提供をさらに強化していきたい。
21年12月からLIPS内で展開しているEC機能(LIPS SHOPPING)に関しては、ポイント還元や在庫管理などの各種コスト負担が大きい部分が課題となっていたが、マツキヨココカラとECの在庫管理や商品の仕入れを共通化することで、オペレーションに費やしていたコストや人材を別の業務へと分配することが可能になる。
LIPSではクチコミを投稿されるユーザーの皆さんに対し、閲覧回数やクリップ数など、どれぐらいクチコミが参考にされたかに応じて収益を得ることができる「LIPSパートナープログラム」を導入しており、共通化によって浮いたコストをユーザーさんへの還元資金などに充てていく。
EC機能に関してはこのほか、店舗での配送を行っているマツキヨココカラと商品の在庫・仕入管理を一体化することでLIPS SHOPPINGでの取扱商品が拡充し、さらに従来まで2~3営業日かかっていた配送のスピードが店舗配送を活用することで、リードタイムを大幅に短縮できる。
マツキヨココカラにとっては、購買前の比較・検討段階の豊富なデータを持ち、SNS全体でクチコミを醸成する広告ソリューションを通じてブランド・メーカーさんのマーケティングを支援してきたLIPSとのID連携により、リテールメディアとしての価値をより一層高められるといったメリットがある。
ID連携は我々にとってもLIPSのクチコミがオフラインでいかに購買行動へとつながっているかが追えるようになるメリットがあり、ブランド・メーカーさんのマーケティング支援をより強力にバックアップできる。
――長年の構想だったオフラインでのユーザー接点の拡大に関して、今後期待されるマツキヨココカラグループとのシナジー効果をお聞かせください。
吉野 オフラインを絡めた施策では、LIPSや各種SNSで活躍するLIPS専属のクリエイター組織「LIPS Production」と、LIPSユーザーの中でもフォロワーが多いトップユーザーを集めたクリエイターコミュニティ「Project LIPS」とのコラボレーションによるOMO施策がスピーディに実現できそうな協働取組と思われる。
例えば、美容領域においてLIPSだけでなく、各種SNSで影響力を持つLIPSユーザーがマツキヨココカラの店頭でライブコマースを行い、美容に関心のある人を店頭へと送客していくことも1つの可能性としてある。
ここ最近、メーカー・ブランドさんから寄せられる意見として、SNSでのクチコミを醸成するためにポップアップを活用したマーケティングを検討しているが、SNSと親和性のあるオフライン店舗は大都市に旗艦店を持つ@cosme STOREぐらいしかないという声も聞く。
商品軸ではなく、人に紐づいた美容情報を発信してきたLIPSと、都市型フラッグシップや郊外型など様々な店舗フォーマットを全国に3400店以上展開されているマツキヨココカラグループが連携することで、全国各地で商品認知を高めたいというニーズを持つブランド・メーカーさんに向けて、オンライン・オフライン双方でアプローチする新たな広告メニューを提供できる。
長期的な協働取組としてはあくまでも一案だが、マツキヨココカラの店舗の一区画をLIPSがプロデュースする棚展開など、売場の世界観をマツキヨココカラとともに作り上げていきたい。
この記事は週刊粧業 2025年1月1日号 46ページ 掲載
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