カンタンに言うと
2025年に創業125年目を迎える日本化粧品は、「日本の女性たちに正しい肌の扱い方を啓蒙したい」という理念を抱いた創業者の北原十三男(とみお)氏が独自に考案した、日本におけるエステティックの元祖ともいえる「北原美顔」のメソッドと商品を通じて、これまで多くの女性の肌を見つめ続けてきた。
創業から100年以上が経った今もなお多くの人に愛される化粧品を提供している同社の原点とものづくりの姿勢について、北原邦子社長に話を伺った。
――改めて創業の原点をお聞かせください。
北原 私の祖父で創業者の北原十三男は渋沢栄一と親戚関係にあり、そうした縁から若い頃に海外留学を経験させてもらった。医者だった祖父は留学先のドイツで、兵隊の火傷や外傷の治療機械として使っていた最先端の医療機器と出合った。それを船で日本へと持ち帰り、マッサージ機として活用する独自の美顔術を考案し、1901年(明治34年)に日本におけるエステティックの元祖ともいえる北原美顔が誕生した。
当時の日本は美容という言葉がなく、化粧品といえば鉛が入った真っ白の白粉が使われていたが、慢性的な鉛毒に悩まされる歌舞伎役者が多かったため、明治政府によって人体に危険を及ぼす鉛を含む白粉の使用が禁止になった時代だ。
明治から大正に入り、和装から洋装への移行が進むと、一般の人も化粧をする時代になった。祖父は化粧品の研究開発にも熱心に取り組み、「白粉は白いもの」という当時の常識を覆して日本初の無鉛で肌色の白粉を実用化することに成功し、洋服にも合う肌色の白粉として一世を風靡した。
祖父は日本における美容の草分け的な存在で、小説「南総里見八犬伝」の中に出てくる綺麗なお姫様「潤鷲手古内美容(うるわしてこないはるかた)」の最後の二文字を取って、素肌が本来持つ力を引き出して、ナチュラルに健やかに保つ独自の美顔法を「美容術」と名付けた。
――創業から脈々と受け継がれている貴社のものづくりをご紹介いただけますか。
北原 自社ビルの中に東京・千代田区で唯一の化粧品工場があり、創業当初から受け継がれてきた製法と厳選した高品質の原料を用いて自社独自で化粧品を製造し、計4名の製造スタッフによる手作りで、調製した化粧品を1つずつ計量して手作業で丁寧に硝子容器に充填している。
硝子瓶は空気を通さないため劣化しにくくリサイクルがしやすいため、中身の品質保持と環境配慮の両方を兼ね備えた容器として、創業から今も変わらず採用している。
肌に良くて安全な化粧品をご提供することをポリシーとする当社のものづくりの強みは、職人の手作業による小ロット製造であり、高品質な化粧品を世に送り出しているという自負がある。
1度に大ロットで製造するとなると、製品を安定化させるために防腐剤や保存料を多く使わなければならない。当社としては、これらの成分によるお客様の肌への負担や影響が計り知れないものになると考えており、硝子瓶を使用することで防腐剤や保存料を使用しない化粧品づくりを心がけている。
小さなお子様を含めて幅広い年代のお客様に使っていただくためにも、やはりシンプルな成分構成が重要であり、当社では今も創業当時の品質を大切に守り抜いている。
一般的な化粧品の配合成分が40~50種類といわれる中で、当社の化粧品ではベースメークで多くても20種類、スキンケアでも10種類程度だ。このように、なるべくシンプルな成分構成でお作りしているため、当社の化粧水を使って肌のトラブルが起きたという声を聞いたことがない。
自社ビル内で製造から品質管理まで全て行っている当社では、アイテム数を増やし過ぎると品質管理が行き届かず、製造ラインが回らくなってしまうため、商品ラインナップを約20品目に厳選し、品質をしっかりと維持してお客様のニーズに合った高品質な化粧品の提供に努めている。
――直近の新商品と今後の展望をお聞かせください。
北原 昨今は若年層のお客様も増え、簡単に手で塗れてスキンケアもできる時短のファンデーションが欲しいといった要望が高まっていた。そこで、2024年2月に化粧水をベースに油脂類と美肌成分配合の「北原リキッドファンデーション」を発売した。
紫外線吸収剤は不使用で肌への負担がなく、含まれる粉の成分1つひとつが物理的に紫外線を反射するので塗っている間、日やけ止めの効果が持続する。
ものづくりに関しては、これからも今まで通り真面目に安全で高品質の商品をご提供し、日本の気候風土と日本人の肌質に合った我々の化粧品をお使いいただけるように努めていく。
当社で使用する原料は、創業当時から変わらず日本国内で調達できる最高品質のものにこだわっている。一般的に化粧品で使われるグレードよりも高い品質のものを化粧品で使い続けてきた創業者の志を受け継ぎながら、お客様の肌のことを第一に考えてものづくりを行っていく。
化粧品の製造・販売だけでなく、サロン(北原美顔)で正しいスキンケアを指導できることも当社の強みであり、信頼され、喜ばれる仕事をせよという創業者の教えを今後も守り抜いていきたい。
この記事は週刊粧業 2025年1月1日号 32ページ 掲載
■2025化粧品日用品市場の最新トレンド(百貨店)~OMOとVIP対応の強化へ■2024年の新商品発売状況、化粧品は機能性向上で平均単価が上昇、化粧雑貨・美健食は販売数が大幅増◎化粧品~成長品目で単価アップの傾向◎日用品~品目別(ファブリックケア(衣料用洗剤・柔軟剤)、フェムケア(生理用品など)、オーラルケア(口腔衛生品))発売状況■特集/ものづくりの日本らしさ~技術と精神の継承で培った価値...
バラ売り
【週刊粧業】2024年化粧品業界 基礎データ
バラ売り
【週刊粧業】2023年度国内化粧品売上高上位30社
バラ売り
【週刊粧業】2025年ボディソープの最新動向
バラ売り
【週刊粧業】2024年消臭・芳香剤の最新動向
バラ売り
【週刊粧業】2025年ボディソープの最新動向
バラ売り
【週刊粧業】ライオン、春のプレゼンテーションを開催
バラ売り
【週刊粧業】都粧協、全粧協関東ブロック、新年祝賀会を開催
バラ売り
【週刊粧業】2024年11月化粧品・家庭用洗浄剤出荷統計
紙面を探す
紙面を探す
レポートを探す
無料でダウンロード
カタログを探す
無料で見る
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、日用品、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門情報紙。
季刊/年4回
化粧品、日用品、アクセサリーなどの業界別の市場動向をはじめ、戦略、流通、経営、マーケティングを扱う情報専門誌。
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、トイレタリー、石鹸、歯磨、日用品に関する情報の速報版。業界のエグゼクティブ必読の情報紙。
週刊/毎週月曜日発行
昭和33年に創刊された、わが国初の訪問販売化粧品業界の専門情報紙。