粧業日報 2025年1月14日号 2ページ
カンタンに言うと
コーセーは、北海道情報大学 情報メディア学部 向田茂教授との共同研究により、顔の部位ごとのシミが対人印象に及ぼす影響や、シミを改善したときの印象変化を詳細に解明した。
目まわりにシミができることは「若々しい」印象を損なうだけでなく、「疲れ」の印象を与えることや、それが改善したときには「若々しさ」や「健康的」といった印象が向上することを見出した。
これにより、顧客の理想とする印象に応じて重点的にケアする部位のおすすめや製品開発への応用が期待できる。研究成果の一部は、第26回日本感性工学会大会(2024年9月12~14日、東京)にて発表し、優秀発表賞に選出された。
シミやシワは加齢とともに多くの人が抱える肌悩みで、いずれも顔の様々な部位に発生し、一般にエイジングを連想させる要素として認知されてきた。一方、それ以外の対人印象については体系的に整理されておらず、個々人の理想とする対人印象をどのように叶えるかは手がかりが少ない状況だった。
そこで同社は、シワ部位と対人印象の関係を見出し、化粧品によるシワのパーツケアの有用性を提示してきた。今回、シミについても発生部位と対人印象との関係を明らかにすることを目指した。
シミと対人印象の関係を評価するにあたり、実在する60~70代の女性118名の顔を画像処理技術で重ね合わせた標準顔を作成し、そこに鼻、目まわり、頬それぞれ部位別シミモデルを重ね合わせることでシミ部位別の印象評価画像を作成した。印象評価には「若々しい―老けている」「健康的である―健康的でない」などの年齢印象以外も多角的に印象を評価できる20項目を用い、110人に画像を提示して印象評価を行った。
シミを付与する前の標準顔とシミ部位別の画像を比較して評価してもらったところ、目まわり>鼻>頬の順番に印象への影響度が大きいことがわかった。また、全シミ部位で「若々しさ」が標準顔より最も大きく低下したが、目まわりのシミは「疲れ」の印象を与え、鼻や頬のシミは「上品さ」といった印象を損なうことがわかった。目まわりのシミは目周辺のコントラストの低下や、くまを連想させるため、「疲れ」の印象につながったことが考えられる。
このことから、シミは従来想定される「若々しい」印象を損なうだけでなく、部位によっては「疲れ」の印象を与え、「上品さ」の印象を損なうという新たな知見を得ることができた。
次に、既にできてしまったシミを改善することで、どんな印象変化につなげることができるかを検証した。付与するシミの濃度を90%にした画像を作成し、100%のものと比較したときの印象評価を行った。
その結果、各部位で「若々しさ」の印象の向上が見られた。部位ごとに見ると、目まわりのシミ改善で変化の大きい印象は「自然体」「若々しい」「健康的」であり、ケアにより若々しく健康的で、自然体(ありのまま)に見えるようになるということがわかった。
鼻では「若々しい」「自然体」「清潔感」の印象が向上しており、若々しい印象につなげるためには鼻も効果的なケア部位だという。頬でも「清潔感」「若々しい」「上品」の印象が向上しており、どの部位も若々しさ以外の印象変化を及ぼすことを明らかにすることができた。
このことはシミ改善が若々しい印象をサポートするという従来の価値に加えて、顧客の叶えたい対人印象に寄り添う手段になるという可能性を示している。
同社では今回の研究成果を踏まえ、カウンセリングなどでのケア提案や製品開発に応用することで顧客一人ひとりのなりたい印象を叶えることを目指す。今後も対人印象や他の感性にまつわる研究に取り組むことで、ニーズに寄り添った商品提供や美容提案につなげ、顧客のウェルビーイングの実現に貢献していく。
この記事は粧業日報 2025年1月14日号 2ページ 掲載
■ライオン、新規成分を配合したボディソープの品質を高精度で予測■コーセー、シミ部位と対人印象の関係を解明■花王、英国発「Molton Brown」インドネシア初進出■花王、紫外線吸収剤フリーの日やけ止め新処方を開発
バラ売り
【週刊粧業】2024年化粧品業界 基礎データ
バラ売り
【週刊粧業】2023年度国内化粧品売上高上位30社
バラ売り
【週刊粧業】2025年敏感肌・低刺激コスメの最新動向
バラ売り
【週刊粧業】2024年消臭・芳香剤の最新動向
バラ売り
【週刊粧業】2025年シワ改善化粧品の最新動向
バラ売り
【週刊粧業】ライオン、2025年ライオン会総会を開催
バラ売り
【週刊粧業】東流社、春の商談会でペット関連、オリジナル商品を強化
バラ売り
【週刊粧業】SAKURAYA FOR ME 聖蹟桜ヶ丘店、デジタル施策と連動する体験型に改装
紙面を探す
紙面を探す
レポートを探す
無料でダウンロード
カタログを探す
無料で見る
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、日用品、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門情報紙。
季刊/年4回
化粧品、日用品、アクセサリーなどの業界別の市場動向をはじめ、戦略、流通、経営、マーケティングを扱う情報専門誌。
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、トイレタリー、石鹸、歯磨、日用品に関する情報の速報版。業界のエグゼクティブ必読の情報紙。
週刊/毎週月曜日発行
昭和33年に創刊された、わが国初の訪問販売化粧品業界の専門情報紙。