サンスター、唾液中のF.n.菌が口腔内細菌の増殖を促すことを発見

粧業日報 2025年2月25日号 2ページ

サンスター、唾液中のF.n.菌が口腔内細菌の増殖を促すことを発見

 サンスターは、歯周病の病態を解明する調査研究を通して、唾液中のFusobacterium nucleatum(フゾバクテリウム・ヌクレアタム、 F.n.菌)の存在割合が、歯周病の悪化原因であるレッドコンプレックスや新種の歯周病菌等含む計28種類の口腔内細菌の割合に相互に影響を及ぼしていることを新たに発見した。

 2015年から歯周病進行予防の新たな戦略の糸口をつかむ目的で、20〜75歳までのサンスター従業員611名を対象に、唾液中に存在する口腔内細菌種と歯周病の病態(進行状況)との関連性を調査してきた。唾液中のF.n.菌の存在割合の増加に伴い、歯周病菌の中でも病原性の高いレッドコンプレックスが増加することが確認され、歯周病発症との高い関連性を示すことが明らかとなった。この研究結果は、2022年に日本歯周病学会学術大会で発表している。

 今回、さらなる詳細な解析を続けた結果、唾液中のF.n.菌の存在割合が高くなると、口腔内で検出される細菌の種類も増加することを新たに発見した。F.n菌は、レッドコンプレックスだけでなくFilifactor alocis(フィリファクター・アロシス)やFretibacterium fastidiosum(フレティバクテリウム ファスティディオスム)など新種の歯周病菌にも密接に関係していることが確認された。これにより、F.n.菌の存在割合の上昇がレッドコンプレックスや新種の歯周病菌を含む計28種の口腔内細菌の割合の増加要因の1つであることを明らかにした。

 F.n.菌は、歯周病の原因となるデンタルプラーク(歯垢)の形成において中心的な役割を果たし、歯周病菌の増殖を促進することが知られている。さらに、近年の研究では大腸がんの発症とも密接に関係することも報告されている。今回の成果は、F.n.菌の制御が、多様な歯周病菌のコントロールにおいて重要な鍵となることを示唆しており、最新の歯周病菌対策の指針になり得るという。

 以上の結果から、唾液中のF.n.菌は、病原性の高い歯周病菌の増加に影響を及ぼし、歯周病予防において極めて重要な細菌であると考えられる。近年F.n.菌は歯周病だけでなく、さまざまな疾患との関連性が報告されている。特に大腸がん患者の腸内からはF.n.菌が高頻度に検出されており、さらに口腔と同一のクローンが検出されたことも報告されている。

 このことから、F.n.菌と大腸がんとの関連性についての研究が活発に行われている。したがって、口腔内のF.n.菌のコントロールは、歯周病予防にとどまらず「口腔から全身の健康」を考える上でも重要な要素であることから、サンスターは、歯周病菌の増殖を抑制する革新的な歯周病予防戦略の一環としてF.n.菌コントロールを重視し、引き続き、研究開発を進めていく。

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