花王、肌の曲がり角は40歳前後と50代半ばに2回あることを発見

粧業日報 2025年2月25日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 第2回日本化粧品技術者会学術大会で最優秀ポスター発表賞を受賞
花王、肌の曲がり角は40歳前後と50代半ばに2回あることを発見

 花王は、独自の長期肌実態調査を活用し、106名の5年間の肌変化を解析した結果、40歳前後と50代半ばに肌状態が大きく変化することを見出した。肌の曲がり角が2回あることを示しているという。研究成果は、第2回日本化粧品技術者会学術大会(2024年11月18~20日)で発表し、最優秀ポスター発表賞を受賞した。

 肌の状態、見た目(色ムラ、シワ、たるみなど)は年齢に伴って変化するが、その変化の仕方は個人によって大きく異なる。そこで花王は、1992年から同一人物の肌性状や意識などの経年変化を継続的に追跡調査し、独自の長期肌実態調査による網羅的データベース「ウルトラ肌解析データベース」を構築している。このデータベースは、長期的な個人の肌の変化を正確に把握し、さまざまな切り口から人の肌と意識の実態を解明することが可能で、「これらの経年変化に関する科学的知見を蓄積することが、化粧品開発において大変重要」という。

 高齢化社会が進む中で、年齢を重ねることを前向きに捉えるウェルエイジングの考え方が広く受け入れられつつあり、それを実現するためには、自分の肌状態を正しく認識し、価値観やなりたい姿に合ったケア法を選択することが重要だ。

 そこで今回は、加齢による肌の見た目の変化パターンを解明すべく、独自の長期肌実態調査による網羅的データベース「ウルトラ肌解析データベース」を活用し、同一人物の5年間の変化について評価を行った。

 花王は、このデータベースの中から、2010年に16~74歳だった日本人女性106名について、2010年と2015年の顔画像を比較した。顔を全方位から解析するため、3Dの顔画像をパーツの位置が同一の平面顔画像に変換し、2010年と2015年の個人の差分画像(顔画像の変化データ)を作成した。

 経年による肌の見た目の変化の特徴を把握するため、106名分の差分画像データを用いて、eigenface法で解析を行った。さらに、統計的な処理を加えることで、参加者の経年変化特徴を表す第1、第2主成分を得た。第1、第2主成分得点をプロットした結果、U字型に分布している様子がみられた。

 これらのデータの意味を解釈するために、参加者全員の主成分得点を用いてクラスタ分析を行ったところ、3つのグループ(A、B、C)に分かれた。また、各グループの特徴を年齢と、目視による見た目(テクスチャ)変化で確認した。

 その結果、グループAは比較的若い年代(平均年齢31.4歳)で構成され肌の変化がほとんど見られず、グループB(平均年齢47.8歳)では、小さなシミやちりめんジワなどの比較的小さな見た目の変化が、グループC(平均年齢61.6歳)では、はっきりとしたシワやたるみなどの比較的大きな見た目の変化が多いことがわかった。

 以上の結果より、肌の見た目の経年変化は、量と質が異なる3つのグループに分けられ、各グループの平均年齢の境界となる40歳前後と、50代半ばに肌の見た目の変化の様子が変わる2つの「曲がり角」があることが明らかになった。

 今回、同一人物を追跡した「ウルトラ肌解析データベース」を活用した、肌の見た目の経年変化の解析により、肌の曲がり角が40歳前後と50代半ばの2回あることが明らかになった。今後も、このデータベースを活用して顔の形状や肌を深く知ることで、化粧品やケア方法の開発、各個人の価値観に寄り添った提案を目指して研究を進めていく。

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