カンタンに言うと
サンユーエンジニアリングはプラントエンジニアリング会社として、顧客のニーズに応じたオーダーメイドの提案を強みとしている。化粧品製造プラントをはじめ、製造設備のプランニング・設計・製作・施工・性能評価・アフターケアまでをワンストップで対応できる体制を整えている。化粧品のみならず、食品・飲料、医薬品、廃棄物処理など、多岐にわたる業界での実績を持つ。
化粧品事業においては、乳化機や攪拌槽など液体系の製造設備をメインに手掛けているが、その周りの付帯設備(ユーティリティ設備)を含めたプラント全体の設計を行っている。その中でも特に、液体系の調合設備を得意としており、シャンプーやボディソープといった製品に関する設備が中心に成長しているという。また、OEMメーカーの製造現場で経験を積んだメンバーなど業界を熟知した技術者が在籍しており、配管系統や建築との取り合いまで一貫してサポートすることが可能だ。
設備設計においては、作業動線やメンテナンス性を考慮し、機能性だけでなく見た目も美しいプラントの構築を重視している。顧客から1日あたりや1カ月あたりの生産量について詳細にヒアリングし、それを元に実現可能な設備を設計する。その際、原料の搬入から製品の排出、作業員の動線までを考慮した計画を立て、効率的に製造できる設備を提供する。このように、装置専業メーカーとは異なり、ラインナップから装置を当て込むのではなく顧客のニーズに合わせてゼロから設計するため、設計前の段階から密なコミュニケーションが必要不可欠である。その中で同社は、「顧客との関係性を深めることで、顧客が気づいていない課題を発見し、適切な提案を行う」ことを目指している。
また、製造機器メーカーとして、単に機器を納入するだけでなく、アフターフォローにも力を入れている。アフターフォローにおいては「設備の稼働を止めないこと」を最優先としており、突発的なトラブルにも迅速に対応し、トラブル発生から現場確認までに1週間以上の時間を要したことはないという。また、定期メンテナンス(1年に1回程度)の推奨や交換が必要な部品を事前にリストアップして在庫を確保するなどの提案も行っている。藤田直人代表取締役社長は、「設備トラブルが製造に与える影響は大きく、時間が経過するほど生産効率の低下やコストの増加につながってしまう。OEMメーカーの多くは人的余裕がないため、トラブル時には当社へ相談が寄せられるが、トラブルに対して迅速に対応することで製造現場の安定稼働を支えている」と話す。
同社は、「環境対応」や「人手不足」といった昨今のニーズに対応した取り組みも進めている。「環境対応」については、OEMメーカーが多品種生産を行う際に頻繁に発生する洗浄工程や、それに伴う廃液の問題に着目し、廃液を最小限に抑えるための提案を進めているほか、CIP洗浄システムの導入に向けて協力企業との連携も視野に入れているという。また、乳化機のモーターには高効率なものを採用し、設備全体の環境負荷を低減する設計を心掛けている。
「人手不足」のニーズに対しては、監視システムの提案により対応する方針である。製造現場では、急な欠員や未経験者の採用などに伴い、製造が一時的に滞ってしまうことがある。このような事態に対応するため、事務所などから遠隔で作業状況を監視し、指示を出せるシステムの導入を検討している。実際に、顧客からは「負担を軽減したい」「安全性を確保したい」といったニーズが多く寄せられているという。
最後に、同社が経営の中で大切にしているのは「社会の課題や顧客の抱える問題を見逃さず素直に拾い上げること」である。経営理念の構成ワードとして「多様な知」を掲げ、多種多様なバックグラウンドを持つエンジニアが在籍しているため、ユニークな発想や異なる視点からの提案が可能である。また、経営理念と品質方針では、「素直」や「公明正大」といった姿勢を重視し、利他的な精神を大切にしている。
利益追求だけに偏ることなく、顧客の立場に立った仕事への取り組みが重要だとし、社長自らがこの意識を社員に伝え、浸透させている。このような姿勢により顧客との関係性を深めることで、顧客が気付いていない課題を発見し、適切な提案を行うことができる。
「このような姿勢で取り組むことが、結果として経済の循環を生み、社会貢献につながる。今後も『お客様第一』の姿勢を貫き、社内教育の充実や優秀なエンジニアの育成に力を入れていきたい」(藤田社長)
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この記事はC&T 2025年3月17日号 64ページ 掲載
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