味の素は、アミノ酸研究から開発したアミノ酸系原料に、紫外線防御機能をブーストする機能を見出し、日やけ止め製品を中心に高機能・多機能な化粧品の処方設計・開発をサポートしている。地球温暖化の影響でサンケア市場への注目が集まる中、同社は「通年で使用できるUVケア製品」の需要に着目し、研究開発・提案を強化していく考えだ。
アミノ酸系原料の研究開発では、SPFブースト効果に加え、スキンケア効果やメークアップ効果の向上、感触の改良・改善、環境への負荷軽減などの機能的な優位性を見出しており、UVケア対応アミノ酸系原料のバリエーションが広がっている。
高極性アミノ酸系エモリエント剤「ELDEW SL-205」(エルデュウSL-205)は、その代表的なアミノ酸系原料の1つだ。「ELDEW SL-205」は、従来の油剤では溶解が困難だった有機系紫外線吸収剤、薬剤を円滑に溶解することができるアミノ酸由来のエステル油である。
紫外線吸収剤(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン/オキシベンゾン-3)の溶解量について、「ELDEW SL-205」と各種油剤(トリカプリリン(TC)/トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリド(CT)/ミリスチン酸イソプロピル(IPM)/流動パラフィン(LP))を用いて比較したところ、ELDEW SL-205は、他の油剤に比べて有意な溶解性を示した(図1)。比較試験では、各油剤に紫外線吸収剤を80~90℃で溶解させ、25℃に冷却し、紫外線吸収剤の溶解量を測定した。
また、パウダー原料の分散性を向上させるはたらきがあり、酸化チタンや酸化亜鉛など分散に課題のある紫外線散乱剤を主体としたノンケミカル処方においても、高い分散性を発揮し、SPF値を向上させることが確認されている(図2)。加えて、「ELDEW SL-205」の感触は、ベタつきが少なくさらっとしているのが特徴で、高配合することにより塗布時の伸びがよくなり、きしみ感など感触に課題のある微粒子酸化物の分散を向上するため、ノンケミカルなサンケア処方設計の自由度を広げるエモリエント剤としても提案を進めていく。
次に紹介する「PRODEW 700」(プロデュウ 700)は、日やけ止め製品の高機能化に加え、ベースメークの多機能化を実現するアミノ酸系湿潤剤として採用実績を伸ばしている。
「PRODEW 700」は、配合されているアミノ酸系素材により整肌・保湿・皮脂抑制によるスキンケア効果をもたらす働きがある。また、化粧膜の密着感や水系での顔料分散性を向上させるメークアップ効果も確認されており、ベースメークの多機能化を実現する。研究ではサンケア処方への配合でSPF値を向上するSPFブースト効果も確認している。
図3は、「PRODEW 700」配合によるスキンケア効果を調べた結果である。「PRODEW 700」を配合したBBクリームを1日1回4週間、連用塗布したところ、コントロール(「PRODEW 700」未配合BBクリーム)に比べ、角質水分量が向上し、肌のきめが細かくなることが確認された。
そのほか、スティックタイプの日やけ止め製品で採用が増えているゲル化剤「GP-1/EB-21」の提案を強化する。「GP-1/EB-21」は、「粘度付与」「透明ゲル」「高ゲル強度」の大きく3つの特徴を持つゲル化剤で、直塗り・スティックタイプのデオドラント剤や透明リップなどに多数採用されてきた。
スティックタイプの日やけ止めは、手を汚さずにメークの上からも塗れて外出先でも使いやすい手軽さ・簡便さが生活者に支持されており、ラインナップに加えるUVケアブランドが増えてきている。同社は、ダイバーシティやインクルージョンの考えからも「多様な肌の色に使用できるサンケア製品として透明なスティックタイプの開発需要が高まっているのではないか」との見解を示している。
また、マイクロプラスチックビーズの代替原料として採用されているアミノ酸系感触改良パウダー「AMIHOPE SB-101」も、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤のSPF値を上げる効果を見出し、「感触改良」と「SPFブースト効果」を両立した環境にやさしいアミノ酸系パウダーとして紹介を進めていく。
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この記事はC&T 2025年3月17日号 44ページ 掲載
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