カンタンに言うと
日光ケミカルズは、色素沈着が起こるメカニズムを基にブライトニング原料の提案を行っている。
皮膚のバリア機能を担当する表皮細胞が、紫外線の刺激によってメラニン生成の指令を出し、それを受けた色素細胞がメラニンを生成している。本来、メラニンは肌を紫外線から守る味方であるが、メラニン産生過程に「指令の慢性化」「メラニンの過剰産生」「過剰なメラニン輸送によるターンオーバーの停滞」などによって色素沈着が引き起こされる。同社はこれらに対応する原料を開発している。
メラニン生成の指令は必要な時のみ発せられるが、慢性的に指示が出続けるとシミの原因となる。その慢性化した指令を抑制する原料として、「NIKKOL グリシン亜鉛コンプレックス」を提案する。同原料は、炎症性因子(PGE2、IL-1α、TNFαなど)を阻害する効果を持つ。色素細胞と表皮細胞の再構築表皮モデルへUVBを照射し黒化を誘導する試験では、グリシン亜鉛を添加した状態でUV照射を行ったところ、1%の配合で色素沈着の顕著な抑制が確認された(図1)。また、ブライトニング効果についても、UV照射時と比較して「NIKKOL グリシン亜鉛」配合時の方が肌の明度が高まり、メラニン量も減少することが確認された。
「メラニンの過剰産生」に対応する原料として、メラニンを生成するチロシナーゼの働きを抑制する役割を持つのが「NIKKOL VC-IPVS」である。表皮細胞と色素細胞を共培養し、生体に近い反応を再現した試験では、「NIKKOL VC-IPVS」の添加によりメラニン量の顕著な減少が確認され、メラニン生成が阻害されることが証明された。色素細胞で生成されたメラニンはメラノソームを通じて表皮細胞に運ばれるが、この輸送は色素細胞のデンドライトの伸長によって行われる。同原料は、デンドライトの伸長を抑えることでメラニンの受け渡しを阻止する。そしてヒト上腕内側部に紫外線を照射し、「NIKKOL VC-IPVS」配合製剤とプラセボ製剤を3週間塗布後、「NIKKOL VC-IPVS」配合製剤塗布部位では、紫外線による色素沈着の抑制が認められた。
さらに、「色素沈着部位に関わる、表皮細胞・色素細胞・線維芽細胞における細胞間で生じるクロストークによる負のループ」に対する役割を持つのが「NIKKOL VF-LINO V」である。同原料の処理により、色素細胞から単離されたメラノソームが表皮細胞への取り込みが阻害され、メラノソームの取り込みによる表皮細胞の細胞増殖能が有意に回復することが確認されている。さらに「NIKKOL VF-LINO V」は、線維芽細胞による色素沈着の抑制作用にも寄与することが示唆されている。線維芽細胞が生成するDKK1などのメラニン調整因子は、バランスの変化によって色素細胞に働きかけてメラニンの生成を抑制するが、そのうち「DKK1」のレベルは老化により減少する。老化した線維芽細胞に「NIKKOL VF-LINO V」を加えると、低下していた「DKK1」のレベルが回復することが確認された。
このように、同社はメカニズムに基づき様々な原料を開発しており、コンセプトによって使い分けることを提案している。
日光ケミカルズでは、KOBOディスパテック社との協業でサンケア原料の開発にも力を入れている。
KOBOディスパテック社は国内唯一のディスパーション専業メーカーであり、サンスクリーンディスパーションやカラーディスパーションの製造・販売を行っている。
この度、共同で開発した「カラーディスパーション GCシリーズ・DMISシリーズ」の提案を強化している。GCシリーズは天然由来の油剤を使用しており、しっとりとした感触が特徴だ。一方、DMISシリーズはシリコーン油を使用し、さっぱりとした感触が特徴であるため、好みに応じて選ぶことができる。また、どちらのシリーズも、「高い発色によるカバー力」「安定した品質」「分散剤を使用せずに良好な分散性を実現」の3つを特長としている。通常、サンスクリーンを製造する際には分散剤を使用することが多いが、分散剤は処方の安定性に影響を与えることがある。しかし同シリーズは、KOBOディスパテック社の高度な分散技術により、分散剤を使用せずとも優れた分散性が確保されている。
「高い発色によるカバー力」については、W/Oファンデーションを用いて比較試験を実施した(図2)。ディスパーミキサーで分散したカラーディスパーション、ロールミルで分散したカラーディスパーション、GCシリーズのカラーディスパーションを比較したところ、GCシリーズが最も全光線透過率が低く、隠ぺい力が高いことが確認された。
GCシリーズは医薬部外品への配合が可能であり、中国市場への対応も可能なことから、多くの引き合いを得ているという。
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この記事はC&T 2025年3月17日号 40ページ 掲載
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