粧業日報 2025年5月2日号 4ページ
カンタンに言うと
Mintel Groupは、「UNLOCK THE NEXT FRONTIER OF BEAUTY GROWTH: INDONESIA(インドネシア美容市場の新たな成長領域を解き明かす)」と題したレポートを発行し、執筆者であるKinShen Chan(キンシェン・チャン)氏が美容業界の中で急速に存在感を高め、新たなビジネスチャンスが広がっているインドネシアにおける美容・化粧品の最新トレンドについて解説した。
人口2億7000万人以上を誇るインドネシアは、その半数以上が30歳未満という若々しく活気ある市場であり、新しい美容トレンドを柔軟に受け入れる土壌が整っている。また、可処分所得の増加、急速な都市化、フェイシャルケア分野の力強い成長予測(2024~2028年の年平均成長率7.8%)といった各要素は、市場の経済活力と進化する消費者の可能性を示している。国内の少子高齢化がさらに進む日本企業にとっては、開拓する市場として魅力的に映る要素が多いといえる。
ミンテルが世界36市場で行っているグローバル消費者調査(G36)によると、インドネシアの消費者のスマートフォン所持率は95%、中でも18~24歳の所持率が東南アジア地域で最も高い94%だった。インドネシアは東南アジア地域でのオンラインショッピングの成長が著しい国の1つで、インドネシアの消費者の93%が1週間のうちにオンラインショッピングを利用する時間があると回答しており、そのうち16%は週に5時間以上をオンラインショッピングに費やしていた。
インドネシアの消費者は、コストパフォーマンスを重視する傾向を強めている。ミンテルの調査では、91%の女性が最もお得な商品を見つけるために価格を比較し、84%が割引価格の美容製品を頻繁に購入していた。また、デジタル上での情報収集や交流も重要な要素となっており、2024年9月までの3カ月間に18~34歳の女性の21%がオンラインで美容コンテンツを閲覧し、情報収集を行っていた。
中国や韓国ブランドの存在感が拡大
昨今、中国の美容ブランドは、インドネシアのEC市場で大きな影響力を持つようになっている。現地の人気オンラインストアである「ソシオラ(Sociolla)」や「ワトソンズ(Watsons)」では、約100のSKUが販売されている。ミンテルの分析によると、これらのブランドは「ヒーロー成分」や成分に特化したマーケティング戦略を展開し、インドネシアの消費者の支持を獲得している。さらに、現地市場の嗜好に合わせた手頃な価格設定も、成功の要因となっている。
また、韓国のスキンケアトレンドの影響も依然として強く、特に「皮膚と腸のバランス」に注目した商品や、美容トリートメントとスキンケアを融合した製品(マイクロニードルやPDRNなどの再生成分を含む製品)が人気を集めている。消費者の高度なニーズに応えるため、各企業やブランドは新しい処方の開発を積極的に進めることが求められている。
インドネシアの美容市場では、製品の「機能性」や「美容効果」を強調した新製品が増加傾向にある。ミンテル世界新商品データベース(Mintel GNPD)のデータによると、2024年に発売されたカラーメークアップ製品のうち、美容効果を訴求するものは77%、機能性を強調するものは76%を占めている。このトレンドは、消費者が製品の安全性や有効性を重視する傾向を反映している。
敏感肌向けのスキンケア市場も拡大を続けている。ミンテル世界新商品データベースによると、「~に適している」と表記された製品の割合は、2022年の34%から2024年には43%に増加。「敏感肌」関連表現を含む製品も、同期間に30%から38%へと増えている。
ミンテルでは、「バリア機能のサポート」や「マイクロバイオームバランスの調整」に注目した製品開発が重要になると指摘している。特にZ世代にあたる18~24歳の若年層では89%が「自分の年齢に特化した美容製品」に関心を示しており、敏感肌向け市場のさらなる拡大が期待される。
インドネシアの美容市場は今後も成長を続ける見込みだが、消費者の期待に応えるには「手頃な価格」「確かな効果」「現地のニーズへの適応」のバランスが重要だ。価値とイノベーションを重視する消費者の声に応えることで、今後の成長機会をつかむことができるだろう。
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この記事は粧業日報 2025年5月2日号 4ページ 掲載
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