サンスター、歯間清掃具が歯の喪失予防につながる可能性を示唆

粧業日報 2025年5月27日号 5ページ

カンタンに言うと

  • 歯間清掃具の使用年数が長いほど歯の喪失リスクが低下
サンスター、歯間清掃具が歯の喪失予防につながる可能性を示唆

 サンスターは、自治医科大学と共同研究を行い、サンスター従業員の5年分の歯科健康診断データをもとに、歯間清掃具の使用年数と歯の喪失の関連性を分析した。

 その結果、歯周ポケットのない健康な集団において、デンタルフロスを4~5年使用している者の歯の喪失リスクが、0~1年使用者に比べて低くなった。また、歯周ポケットを有する歯周炎の集団では、歯間ブラシを4~5年使用している者の歯の喪失リスクが、0~1年使用者に比べて低くなることがわかった。研究結果をまとめた論文は、2024年12月21日に「BMC Oral Health」誌にオンライン公開された。

 これらの結果から、歯間清掃具を継続して使用することで歯の喪失を抑制できること、さらにその効果は歯周病の状態によって異なることがわかった。このことから、個々のお口の状態に応じた歯間清掃具を長期間使用することが、お口の健康維持において重要であると考えられる。

 歯の喪失は、全身疾患のリスク増加や生活の質の低下につながる可能性があり、歯を失わないためには、定期的に歯科医院を受診することに加えて、日常の歯みがきや歯間清掃具の使用を通じて、お口を清潔に保つことが重要になる。

 これまで、歯間清掃具の使用が歯周病やむし歯の予防に有効であることは、数か月程度の臨床試験で示されていたが、長期的な使用に関する研究は行われていなかった。

 そこで研究では、サンスター従業員を対象に歯間清掃具の長期的な使用と歯の喪失の関連を検証した。

 研究対象者は、2012年~2017年の歯科健康診断を受診したサンスター従業員845人(平均年齢47.8歳)で、5年分の歯科健康診断データから、歯間清掃具の種類(デンタルフロス・歯間ブラシ)・使用年数(0~1年/2~3年/4~5年)、歯の喪失の有無を抽出した。さらに、2012年の歯科健康診断におけるCPI(地域歯周疾患歯数)の最大値をもとに、対象者を健常群(CPI<3; 4mm以上の歯周ポケットなし)と歯周炎群(CPI≥3; 4mm以上の歯周ポケットあり)に分類した。

 歯間清掃具の種類・使用年数と歯の喪失との関連については、群別に年齢、性別、むし歯経験指数(DMFT)、喫煙、歯科受診年数、歯みがき回数で調整して、回帰分析を行った。

 歯周病の状態により対象者を分類した結果、歯周炎群(200人)は、健常群(645人)に比べ、女性の割合が少なく、年齢が高く、むし歯経験指数や歯科受診年数が多い傾向が見られた。また、両群で歯間清掃具の使用状況をみると、歯周炎群では歯間ブラシを4~5年使用する者の割合が高く、健常群ではデンタルフロスを4~5年使用する者の割合が高いことがわかった。

 健常群においては、デンタルフロスを0~1年使用する者に比べて、4~5年使用者は歯の喪失に対するオッズ比が0.42倍、歯周炎群では、歯間ブラシの使用期間が0~1年の者に比べて、4~5年使用している者の歯の喪失に対するオッズ比が0.38倍と、歯間清掃具を長期使用する群では歯を失うリスクが低くなることがわかった。

 以上のことから、歯間清掃具の使用年数が長い人ほど歯の喪失リスクが低いことが明らかになり、歯の健康維持には、継続的な歯間清掃が重要であることが示された。また、健常群ではデンタルフロス、歯周炎群では歯間ブラシを継続的に使用する人の方が歯の喪失リスクが低かったことから、歯周病の進行状況に応じて適切な歯間清掃具を選択することが重要であることがわかった。

 研究結果をもとに、今後は大規模なデータを活用し、個々のお口の状態に応じた最適な歯間清掃習慣の確立や、定期検診との連携も含めたより効果的なオーラルケア指導の開発が期待される。

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