粧業日報 2025年6月5日号 4ページ
カンタンに言うと
資生堂は、「ボトル製造」と「中味液充填」をワンステップで実現することで環境負荷を軽減する製造技術「LiquiForm(リキフォーム)」をディスペンサーポンプ型容器にも採用し、環境負荷軽減だけでなく、化粧品ならではの容器の魅力や心地よい使用感につながるデザイン性、持ちやすさや使い勝手といった機能性を同時に実現する化粧品容器を開発した。
今回、ボトルを「リキフォーム」による成形で作ることで、現行品から容器単体のプラスチック使用量を約56%、CO₂排出量(温室効果ガス排出量)を約48%削減することが可能だ。今後は、この容器を活用した商品をプレステージブランドなどで展開していく。
同社は、2022年に世界で初めて「リキフォーム」を採用したサステナブルな化粧品容器を開発した際に、リキフォームで製造したレフィル容器を外容器で包んだ二体構造も検討したが、現行品に比べサイズが大きくなることが課題だった。
そこで、現行のサイズ感やデザインを踏襲させるべく、柔らかいプラスチックでできたレフィル容器を、あえてそのまま容器側面に活かすことに挑戦した。
ポンプの付いた硬い素材の容器上部をこの柔らかなレフィルに差し込む形状にするために、落下強度や中味の耐光性、ディスペンサーポンプ型ならではの中味の吐出のしやすさ、プラスチック量削減など複数の課題を解決している。
人間の手の大きさと本体容器のサイズのバランスなど、人間工学の観点からも検討を重ね、実際にパイロット品を試してもらうことで、手になじむ最適な形状の開発に成功した。
資生堂は、化粧品容器のデザイン性と機能性を両立させた新しい容器について、日本と中国の20~34歳の女性130名(日本64名、中国66名)を対象にアンケート調査を実施した。
参加者には製品を4週間連用してもらい、容器の印象と使用前後の気持ちの変化を評価してもらった。調査の結果、容器の印象評価については88%の人が「環境に配慮されている」と思う、89%の人が「これからの時代に合っている」と回答した。また、使用後の気持ちの評価では、91%の人が「触っていると気持ち良い/心地よい」と感じ、84%の人が「癒される」と回答した。これらの結果から、4週間の使用を通じて、気持ちが良い方向に変化することが確認された。
今後も環境課題を考える機会や顧客を巻き込んだ形で課題解決の新たな選択肢になる化粧品容器開発に取り組む。引き続き「美」の価値創造という本業を通じて、全てのステークホルダーとともに環境・社会課題解決に向けたアクションに取り組んでいく。
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この記事は粧業日報 2025年6月5日号 4ページ 掲載
■ライオン、雪印メグミルクと新資源循環モデルを創出◎異業種連携で良質な再生プラスチックの安定確保へ■資生堂、「LiquiForm」をディスペンサーポンプ型容器に採用■コーセー、ドジャースとパートナーシップ契約を2029年まで継続■資生堂ジャパン、宮城県とがん啓発・検診で包括連携協定を締結
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