一丸ファルコス(本社・研究所=岐阜県)は、肌の見た目に影響を与える「くすみ」の研究で、黄ぐすみ、茶ぐすみ、グレーくすみの3種類の発生原因を分析して、それぞれのくすみを改善する化粧品原料の探索を進めている。
このほど、シャクヤク(芍薬)の根から抽出したエキス(シャクヤク根エキス)に、3種類のくすみにそれぞれアプローチして肌色を均一に整える効果を見出し、新たに「ペオグロウ〈シャクヤクエキス〉」として販売を開始した。シャクヤク根エキスとしては、肌の糖化(AGEs生成)を抑制する抗糖化作用を見出しており、25年以上の販売実績を持つ。
肌が黄色く濁ってみえる黄ぐすみは、終末糖化産物(AGEs)による角質細胞の濁りが原因であることがわかっている。AGEsが着色物質となり、角質の光透過量を下げて、透明感を失わせることにより、肌が黄色く濁って見えてしまう。
さらに、最近の研究で、AGEsが黄ぐすみだけでなく、茶ぐすみ、グレーくすみにもつながることがわかってきた。細胞表面にあるAGEs受容体(RAGE)とAGEsが結合することにより、細胞内でシグナルが伝わり、それが表皮細胞の角化(分化)障害や、メラノサイトからのメラニン産生亢進を促すという。
これまでは、茶ぐすみの原因はメラニンの蓄積、グレーくすみの原因はターンオーバーの乱れによる角質の重層化と分けて考えられてきたが、黄ぐすみの原因とされるAGEsがRAGEと結合することにより、他のくすみも引き起こしてしまう(図1)。
同社は、AGEsと受容体RAGEの結合を切断することで、肌の「くすみドミノ」を止められると考え、原料のスクリーニングを行い、シャクヤク根エキス(ペオグロウ)にAGEs-RAGE結合阻害作用を確認した。「ペオグロウ」は、濃度依存的にAGEsとRAGEの結合を阻害することを示した。
また「ペオグロウ」は、抗糖化作用による黄ぐすみ改善だけでなく、茶ぐすみ、グレーくすみも改善する。培養メラノサイトにAGEsを添加するとメラニン量が増加するが、「ペオグロウ」は濃度依存的にメラニン産生を抑制することがわかった(図2)。糖化に起因するメラニン依存の茶ぐすみ改善が期待できる。
さらに、ペオグロウは、基底膜の糖化により低下した分化を改善してグレーくすみの進行を止める表皮分化不良改善作用も認められた。
以上から、「ペオグロウ」を配合することで、くすみ3種(黄・茶・グレー)をトータルケアし、肌色のトーンを明るく均一に整え、透明感のある肌へ導き、見た目の印象をよくすることが期待できる。
今回、肌の見た目に対する客観的な印象評価を行うため、「SLIC法」を用いた感性工学に基づく新たなくすみ評価系も新たに開発した。ペオグロウ1%配合ローションを使ったヒトモニター試験では、塗布前と塗布2週間後の肌を画像処理により肌の「印象」を抽出、客観的な印象の比較評価により、塗布2週間後の肌色の均一性が高まっていることを確認した。
「ペオグロウ」は、肌の透明感に影響する3種のくすみをトータルケアして、見た目印象をアップさせる機能性原料である。
同社は、新規開発原料として、アップサイクルな洗顔・洗浄クレイ「米ぬか発酵クレイ〈乳酸桿菌/コメヌカ発酵物〉」も販売を開始した。
「米ぬか発酵クレイ」は、焙煎した脱脂されていない国産米ぬかをそのまま使用して、植物性乳酸菌を使った独自の発酵プロセスで製品化した。精米時に廃棄されることが多い米ぬかをそのまま再利用していることから、環境に配慮したアップサイクル素材といえる。
素材由来の自然なソフトクレンジング効果と、乳酸発酵により生成される乳酸や多糖に由来する保水力向上効果により、うるおいを与えながら肌表面を整える。「Lactobacillus/Rice Bran Ferment」(表示名称=乳酸桿菌/コメヌカ発酵物)としてINCIも取得した。
ヒトモニター試験では、手の甲に油性ペンでマーキングし、米ぬか発酵クレイの洗浄効果を調べた。3%米ぬか発酵クレイ配合洗顔フォームは、コントロールに比べ、油性ペンによるインクが落ちることが確認された。米ぬか発酵クレイを洗顔料に配合することで、洗浄効果をアップさせるはたらきが期待できる。
また、2%米ぬか発酵クレイ配合洗顔料は、洗顔3時間後にバリア機能を改善する効果、保水機能を回復する効果が認められた。
肌表面の状態を画像で確認したところ、米ぬか発酵クレイ配合洗顔料は、コントロールに比べ、肌表面の凹凸を軽減することが認められ、肌の手触りや見た目、化粧ノリの向上などが期待できる。
モニターアンケートでは、洗顔料の泡立ち工場や、洗顔中の感触向上、洗顔後の快適性向上などを実感する評価を得ている。
この記事はC&T 2025年6月16日号 38ページ 掲載
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