2015年5月14日 15時00分
花王株式会社(社長:澤田道隆)生物科学研究所は、自治医科大学分子病態治療研究センター人類遺伝学研究部(岩本禎彦 教授)と、このたび、日本人を対象とした共同研究を行ない、内臓脂肪蓄積の個人差と、消化管ホルモン*1 に関係した遺伝子配列の多様性(遺伝子多型)*2 の保有数が関係することを、科学的に初めて明らかにしました。
*1 消化管ホルモン:
食後、消化管から分泌されるホルモン。そのひとつに、GIP:Glucose-dependent Insulinotropic Polypeptide があります。GIPは、ブドウ糖による膵臓からのインスリン分泌を高める他に、インスリン存在下で脂肪細胞へのブドウ糖の取り込みを促したり、脂肪合成を促進したりします。過剰なGIP分泌により、肥満が亢進されると考えられています。
*2 遺伝子多型:補足資料を参照。
今回、自治医科大学と共同で、健康診断を受診した日本人3,013名(男性1,621名、女性1,392名)を対象に内臓脂肪蓄積量と(消化管ホルモンのうち脂肪合成などに関与する)GIPおよびGIP受容体(※GIPの刺激を受け取って作用する蛋白質。脂肪組織に多く分布)の遺伝子多型との関連性を解析しました。試験は、被験者に対して、インフォームドコンセントの同意を得たうえで、血液を採取して遺伝子多型の分析を行ない、体格測定(身長、体重)によりBMIを算出し、インピーダンス法を用いた内臓脂肪計(EW-FA90;医療機器承認番号22500BZX00522000)により内臓脂肪蓄積量を測定して、遺伝子多型との関連性を検討しました。
その結果、GIPとGIP受容体の遺伝子多型が、内臓脂肪蓄積量と強い相関があることを初めて明らかにしました(図1、2)。
これまで花王では、“ヒトの脂質代謝と健康”に着目して研究に取り組んできましたが、今回の共同研究で得られた新たな知見は、軽度の肥満でも内臓に脂肪が蓄積することにより生活習慣病を発症しやすいという日本人特有の肥満メカニズムを解明するきっかけになると考えられます。
また、こうした知見の積み重ねによって将来、ヒトの脂質代謝メカニズムに起因する2型糖尿病や動脈硬化性疾患などの生活習慣病に対して、遺伝子解析を応用して、一人ひとりの体質に応じた肥満や内臓脂肪蓄積リスクの予測、更により効果的な予防、改善の保健指導・健康づくりの支援にも貢献できると期待されます。
世界の肥満人口は増加傾向にあり、日本においても特に男性の中高年での肥満者が3人に1人の割合となっています。肥満の中でも特に内臓脂肪蓄積は、肥満・運動不足などにより発病する2型糖尿病や動脈硬化性疾患などの生活習慣病と密接な関係があるため、これらの予防には内臓脂肪蓄積を低減することが重要です。また肥満には生活習慣だけでなく、遺伝的要因も大きく関与していることも知られています。ヒトゲノム・遺伝子解析研究が進んだ結果、脂質代謝や肥満のメカニズムに関連する遺伝子多型も明らかになってきています。
また消化管ホルモンであるGIPとGIP受容体は、脂肪蓄積に関与することが以前から報告されていました。さらに、欧米人や東アジア人の集団を対象とした研究からは、GIP受容体の遺伝子多型が、肥満の程度を知る国際的な指標であるBMI(Body Mass Index 肥満度)に関連することが報告されています。
一方、日本人は、BMIがそれほど高くなくても、生活習慣病を発症しやすいため、内臓脂肪蓄積に関係する遺伝子解析研究を進めていくことは、これからの予防医療の観点からも非常に重要と考えられています。しかしながら、これまでに日本人に対する知見はなく、そこで今回の研究を行なうに至りました。
花王株式会社 広報部
電話 03-3660-7041~7042
※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。
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