ポーラ化成工業、第28回日本動物実験代替法学会にて研究成果を発表

2015年12月9日 10時30分

 ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:三浦卓士)は、 実験動物を用いない、試験管内(in vitro)での光アレルギー反応に関する検討を進め、この反応には 活性酸素(ROS)が関与することを見出しました。

 光アレルギーとは、皮膚に乗せた化学物質の一部が光(紫外線)によってアレルギー性物質に変わる ことを指し、今後、ROS との関わりをさらに詳細に追求することにより、動物実験代替法として新しい in vitro 光アレルギー性試験方法の確立につながる可能性が考えられます。

 本研究成果は、2015 年 12 月 10 日より横浜にて開催されます、第 28 回日本動物実験代替法学会※1) にて発表される予定です。

※1:動物実験の適切な施行の国際原則である3Rs(Replacement(動物を用いない代替法への置換)、 Reduction(動物数の削減)、 Refinement(動物に対する苦痛軽減))の推進と普及を目的とし、研究、開発、教育、調査 等を行う我が国で唯一の学術団体 (http://www.asas.or.jp/jsaae/)



 ポーラ化成では当学会においてこれまでにも動物実験代替法に関する研究発表を行なっており、昨年は 「難水溶性物質のための 3T3 NRU 光毒性試験の改良(第 2 報)」を発表し、優秀ポスター賞を受賞いたし ました。

 動物実験代替法の開発は世界的な課題となっており、今後も引き続き、適用範囲が広く、かつ精 度の高い動物実験代替法の開発及び利用に取り組んで参ります。

【発表論文概要】

・論文タイトル : in vitro 光アレルギー性評価における活性酸素クエンチャーの影響
・発表者 : ポーラ化成工業(株) 品質研究部 豊田 明美 国立大学法人 横浜国立大学 大学院工学研究院 板垣 宏

研究の背景・目的

 皮膚に接触する化学物質の中には光(紫外線)により構造の 一部が変化し、その後生体のタンパク質と結合することでアレ ルギー性を示すものが存在します(光アレルギー性物質)。光 アレルギーが成立する過程には活性酸素 (ROS)が関与する と考えられていますが、その詳細は解明されていません。

 今回、数種の光アレルギー性物質を対象に、異なる ROS を補 足・消去する物質(クエンチャー)を同時に添加して紫外線照 射を行ない、光アレルギー性物質の毒性発現の低減効果を 検証しました※2)。

※2 :検証には光 h-CLAT 系を用いました。この系ではヒト単球細胞株 THP-1 を用い、被験物質を添加した後に一定の紫外線照射 を行い、24 時間後に細胞膜表面に現れる毒性の指標である CD86 及び CD54 の量を評価します。これら指標の発現量が多く なると、アレルギー性が強いことを意味します。

研究の結果及び考察

その結果、
1) 光アレルギー性物質の構造が変化する際、それぞれ特有の ROS が発生すること
2) これらの ROS をそれぞれ捕捉・消去するクエンチャーを添加することで細胞膜表面に現れる毒性指 標が低下すること
を確認できました。

すなわち、光アレルギー反応への ROS の関与が示されたことになります。

今後はこれらの結果を基に、光アレルギー性の発現過程における ROS の関与を更に明らかにすること で、新しい光アレルギー性試験法の確立につなげたいと考えています。

【本件に関するお問い合わせ先】

(株)ポーラ・オルビスホールディングス コーポレートコミュニケーション室
Tel 03-3563-5540/Fax 03-3563-5543 Tel 03-3563-5540/Fax 03-3563-5543

お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop