【ジェンダーレスコスメ】市場動向・トレンド・課題・今後の展望を解説

近年、性差に関係なく、平等な機会を提供するべきという考えが浸透しています。

化粧品においても、男性の美容意識の向上とともに、男性用・女性用といった区別を行わない「ジェンダーレス化粧品」や「ジェンダーフリー化粧品」といった提案のブランド・アイテムが増えつつあります。

それにともない、ジェンダーレスコスメの市場規模も拡大傾向にあります。


ジェンダーレスコスメとは

性別を問わずに誰でも使いやすいコスメ

ジェンダーレスコスメとは、性別を問わずに誰でも使いやすいコスメを指します。ジェンダーレスとは、社会的・文化的な性差である「ジェンダー」の規範を取り払うことを意味します。

色合いやパッケージなどの見た目が性別にとらわれない、癖のない香り、肌にやさしい成分、使いやすさ、 ナチュラルなカラーのアイテムが多いのが特徴です。

男性にも女性にも似合い、中性的な見た目に仕上げることができ、誰でも自由に楽しめるのが大きな魅力です。


ジェンダーレスコスメの市場動向・トレンド

ジェンダーレスを訴求するコスメ市場は拡大傾向

男性韓流アイドルの流行や、コロナ禍でリモート会議中に自身の顔を直視する機会が増えたことなどが要因で、男性の美容意識が向上しつつあり、ここへ来てジェンダーレスを訴求するコスメ市場の規模は拡大傾向にあります。

市場規模は少なくても化粧品市場全体の1%程度に

2016年に宝塚大学が行った調査に回答した、国内に住む15,064人のセクシュアルマイノリティ(10歳以上)のうち「Xジェンダー男性」「Xジェンダー女性」として回答した人数は、合計1,493人(回答者の約1%)でした。

また、「メンズ美容総研」が2022年3月に発表した「第1回 メンズ美容定点調査」(調査対象:15~59歳の男性2,000名)によると、「あなたは日頃、スキンケアをしていますか」という質問では、「ほぼ毎日行っている」が36.3%、「たまに行っている」が30.3%となり、合計すると66.6%の人がスキンケアに取り組んでいるという結果になりました。

このことから、ジェンダーレスコスメは、少なくとも「Xジェンダー男性」「Xジェンダー女性」に支持されていると考えられ、ジェンダーレスコスメの市場規模は化粧品市場全体の1%程度に達しているのではないかと推測されます。


ジェンダーレスコスメの課題

ジェンダーレスコスメは性別の垣根を超えて広がりつつありますが、いくつかの課題も抱えています。

1.市場の浸透度の限界

ジェンダーレスコスメは主に若年層や都市部の消費者に支持されていますが、地方や中高年層への浸透はまだ限られています。特に中高年層では、ジェンダーに対する固定観念が根強いため、受け入れに時間がかかる可能性があります。

2.パッケージやマーケティングの問題

多くのジェンダーレスコスメブランドは、中性的なデザインやシンプルなパッケージを採用していますが、それが全ての消費者に魅力的と映るわけではありません。製品の性質が「無個性」や「曖昧」と感じられることがあり、特に強い自己表現を求める層には物足りなく映ることもあります。

3.男性の認知度の低さ

男性向けの美容市場は成長していますが、まだ多くの男性が美容アイテムを積極的に使うことに抵抗を感じる傾向があります。これは、ジェンダーレスコスメの普及を妨げる要因となっています。


ジェンダーレスコスメの今後の展望

1.シェア美容の拡大

今後、家族やパートナーで共有できる「シェア美容」がさらに広がると予想されます。日常的に使えるスキンケアやUVケアなどの製品は、性別に関係なく利用できるため、需要が高まるでしょう。

2.多様性の受容拡大

社会的なジェンダーに対する理解が進む中で、今後はより多くの消費者が「美容は性別に関係なく楽しむもの」と認識し、ジェンダーレスコスメの市場が拡大する見込みです。

3.機能性の進化

ジェンダーレスコスメは、性別に関係なく誰もが使いやすい機能性が求められています。これに応え、今後はエイジングケアや日常のケアに特化した多機能な製品が増えていくことが期待されます。特に、時短ケアや持ち運びやすさなど、ライフスタイルにマッチした製品が引き続き人気を集めるでしょう。

まとめ

ジェンダーレスコスメは、これまでの固定観念を壊し、多様なニーズに応えることでさらなる成長が期待されます。

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SDGsの達成目標の1つにジェンダー平等が組み込まれていることからもわかる通り、近年、性差に関係なく、平等な機会を提供するべきという考えが浸透している。化粧品においても、男性の美容意識の向上とともに、男性用・女性用といった区別を行わない「ジェンダーレス化粧品」や「ジェンダーフリー化粧品」といった提案のブランド・アイテムが増えつつある。本特集では、関連メーカー3社(コーセーコスメポート、Aesop、コティスエルト)に、注力商品やマーケティング手法について話を伺った。

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