資生堂、第5回「女性研究者サイエンスグラント」受賞者10名を決定

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資生堂、第5回「女性研究者サイエンスグラント」受賞者10名を決定

 資生堂は、自然科学分野において指導的役割を担う女性研究者の育成を目的とした第5回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」の受賞者10名を選出、3月8日「国際女性の日」にちなみ、発表した。受賞者には、同社から各100万円の研究助成金を贈呈する。また、授賞式を6月に同社汐留オフィスで開催する。  資源の少ない日本では、将来にわたり国際社会の発展に貢献し、豊かな生活を実現するためには科学技術の振興が不可欠であるとして、「科学技術創造立国」を掲げている。一方で、「理系離れ」が深刻化する中、科学技術分野における優秀な人材の確保が喫緊の課題となっており、その対策の一つとして、これまで少なかった女性研究者をどう活かしていくかに注目が集まっている。  現状をみると、社会における女性の活躍が当たり前となった今日でも、日本の全研究者に占める女性の割合は13.6%にとどまっており、先進諸国(米34%、伊33%など)と比べて大きく下回っている(平成23年版男女共同参画白書より)。これにはいくつかの要因が考えられるが、女性は男性に比べ「出産・育児・介護」などの影響を受けやすい一方で、サポートする環境が十分ではないことが一因と考えられる。  同社ではこうした状況を踏まえ、自然科学分野を専攻する優秀な女性研究者を毎年10名選び、その活動を資金面で支援する「女性研究者サイエンスグラント」を2007年度に設立。支援対象者を広げるため年齢制限を設けず、研究分野も「自然科学全般」としている。さらに、現存する多くの研究助成が、助成金の使途を試薬や機器の購入などに限定する中、女性研究者が「出産・育児・介護」などの影響を受けずに研究を継続できる環境をサポートするべく、研究補助員の雇用費用にも充当可能としている。  なお同社では、「リケジョ」と呼ばれ近年増加傾向にある理系志望の女子中高生に対して、同社研究員による出前授業に加え、2011年度からは、サイエンスグラントの歴代受賞者を講師に招き、女子中高生と対話を行うサイエンスカフェなどの理系進路選択支援活動を行っている。

■受賞者一覧(敬称略、氏名五十音順) ●岩倉いずみ(広島大学大学院理学研究科/助教/金属錯体反応における項間交差の解析(観測困難とされてきた化学反応の瞬間を超短レーザーパルスで捉える)) ●恩田弥生(山形大学農学部/助教/植物細胞・エネルギー代謝を制御する電子キャリアーの細胞内分配機構の解明(光を利用したエネルギー生産の仕組みを明らかにする)) ●近藤美欧(分子科学研究所生命・錯体分子科学研究領域/助教/界面電子移動プログラミングによる水の完全光分解系の構築(クリーンエネルギー開発の基礎知見となる、太陽光エネルギーを用いた水の完全分解系を構築する)) ●佐藤美由紀(群馬大学生体調節研究所/助教/線虫C. elegansにおけるミトコンドリア母性遺伝の分子メカニズムの研究(細胞内の小器官「ミトコンドリア」はなぜ母親からのみ受け継がれるのかという仕組みを明らかにする)) ●澤井仁美(分子科学研究所岡崎統合バイオサイエンスセンター/特任助教/細胞内ヘム濃度の恒常性維持に関わる分子機構の解明(活性酸素を発生させる「鉄」を排除して、細胞を守るたんぱく質の分子構造を明らかにする)) ●中村美穂(東京医科歯科大学生体材料工学研究所/助教/加齢に伴う骨の材料特性および破骨細胞機能変化に関する研究(骨のエイジング機構を明らかにする)) ●政池知子(学習院大学理学部物理学科/助教/分子モーター蛋白質F1-ATPaseの物理的回転による高効率の機能的回転機構の解明(蛋白質の部品を解体する力を光学顕微鏡で1分子測定し、作動機構に迫る)) ●眞鍋史乃(独立行政法人理化学研究所基幹研究所/専任研究員/新規反応活性種を用いた糖鎖結合形成法の開発と新規高分子創成への展開(合成が難しい糖の結合法を開発することで新規医薬品を生み出す)) ●柳澤実穂(九州大学大学院理学研究院/助教/理論的理解のための皮膚細胞様モデル構築とモデル細胞間相互作用の制御(皮膚細胞のような組織モデルを構築することで、生物を形づくる制御機構を見出す)) ●吉田絵里(豊橋技術科学大学大学院工学研究科/准教授/新規"光精密ラジカル重合法"の開拓(光で分子を精密につないでいく方法を開発する)) 週刊粧業web版紹介.jpg
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