第2回 "創業原点"を共有するライフネット生命の「マニフェスト」

 先日、ライフネット生命保険株式会社の出口治明社長と対談をしました。

 出口社長は、もともと日本の生命保険業界のリーディングカンパニーである日本生命に長く勤めていた方です。ライフネット生命を創業した2008年当時は、まもなく60歳を迎えるタイミングで、「還暦でベンチャー企業を立ち上げた社長」といった報道をされていました。

 誰もが思うように私も疑問を持っていました。

 「なぜ、引退して悠々自適の生活を送れるような方が、新しい挑戦をしようと思ったのか?」

 出口社長に率直に尋ねてみたところ、こんな答えが返ってきました。

 「生命保険を元の正しいカタチ、つまり"原点"に戻したいと本気で思っていたんです。生命保険は生活者の『ころばぬ先の杖が欲しい』という希望から生まれてきたもので、生命保険会社という制度が先にあったのではない、これが"原点"です」

 「格差社会」が進んでいくなか、所得がなかなか上がらない層がどんどん増えているのは事実として誰の目にも明らかでした。それにもかかわらず、これまでの成功モデルに縛られている伝統的な生命保険会社が自ら変わることは難しかったのでしょう。

 出口社長は、日本生命にいるときに、その現実に気づいていたからこそ、外部から新しい風を送り込むという挑戦を決断されたのだと思います。

 だから、ライフネット生命のコンセプトは明確です。

 「保険料を半額に」、「保険金の不払いを0に」、に関してはすでに実績を出しています。また、「お客さまの比較購買を容易に」、に関しては自社保険料のいわゆる"原価"と"手数料"を公表することで、業界全体に"お客さま視点"を取り戻そうという働きかけをしています。

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川原慎也

(株)船井総合研究所 東京経営支援本部 部長 グループマネージャー

1998年船井総合研究所入社。1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられる。最近は、「営業戦略の落としどころは営業マンの行動配分」「断れない提案」「新規開拓一点集中」、等の“視点”の提案を始めている。

http://www.funaisoken.co.jp/site/profile/profile_142.html

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