皆さんもよくご存知のマクドナルド、2004年に約3800億円だった売上を約5300億円にまで伸ばすことに成功しています。ちなみに2011年は上場後の最高益を上げています。
この8年間の経済環境を振り返ってみると、「長引くデフレ経済」「減少に転じる人口」「少子高齢化」「リーマンショック」「ユーロ危機」と、プラスに作用するポイントがあまり見当たらないというのが正直なところではないでしょうか。
マクドナルドの事業領域である「外食市場」に関しても、ピークは1997年の約29兆円で、その後は緩やかな減少傾向が続いており、現在は24兆円を割り込むような状況です。
このように決して追い風とは言えない環境下において、大幅に売上を上げていること自体が驚きに値すると思うのですが、この売上増は「店舗数を増やしたわけではない」「デフレだからといって価格を下げたわけではない」ところに、学ぶべきポイントが隠されているのではないでしょうか。
店舗数に関しては、増やすどころか「戦略的閉店」という方針の下に400店舗以上を閉店していますし、価格に関しては「この8年間で6回の値上げ」を実施しているのです。
2004年に日本マクドナルドの代表取締役に就任したのが原田泳幸氏です。
原田社長が就任後間もなく意思決定したのが、「MFY(メイドフォーユー)システムの導入」です。
これは、「お客さまからの注文が入ってから商品を作って提供する」システムなのですが、オペレーションが複雑なこともあり、導入が進んでいなかったそうです。
ところが、作り置きよりも「うまい」ことは明らかなのだから、「全店導入」すべきという方針を打ち出し、100億円もの投資意思決定をし、2004年の末までに全店導入を完了させました。
その後は、「どうすれば、もっと新しいお客さまに来て頂けるか」「どうすれば、来て頂けているお客さまの来店頻度をもっと上げることができるか」という視点の下に、「100円マック」「100円コーヒー」「メガマック」「ビッグアメリカキャンペーン」「宅配店舗強化」といった施策を次々に打ち出し、成功させているのです。
川原慎也
(株)船井総合研究所 東京経営支援本部 部長 グループマネージャー
1998年船井総合研究所入社。1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられる。最近は、「営業戦略の落としどころは営業マンの行動配分」「断れない提案」「新規開拓一点集中」、等の“視点”の提案を始めている。
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