第58回 パーソナライズ時代を見据えて

【週刊粧業2018年12月10日号12面にて掲載】

 先日、ベンチャーキャピタルなどが主催する美容新規ビジネスについてのイベントに参加してきました。

 テクノロジーの分野では、人工知能や人工皮膚など最新技術を取り入れた研究開発が大変盛んになってきているようですが、マーケティングの分野でもパーソナライズ時代の流れを受けて、DIY化粧品や新しいサービスの話があり興味深かったです。

 その中で、パーソナライズヘアケア製品を販売する会社がありました。この会社は、お客様にオンラインで頭皮の状態や、なりたい髪のイメージ等についての質問に答えてもらい、その回答をもとに100以上ある処方の中からパーソナライズされたシャンプー&トリートメントを、そのお客様のためだけに製造し届けるサービスを提供されています。

 驚いたのはそのスピードで、オンラインで回答してからなんと約1〜2週間で配送されるそうです。独自の製造ノウハウがあるからこそできるサービスでしょうが、2カ月に1度の配送で届く定期通販サービスとなっており価格は6000円ぐらいとのことです。さらに、次の配送までにフィードバックを送れば、より最適な処方に改善された商品が届くというのですから至れり尽くせりです。

 私も是非使ってみたいと思いましたが、量がシャンプー、トリートメントともに250mlのようなので「1カ月で使い切ってしまい足りなくなりそう」というのと「それだとちょっと高いな」というのが気になり、ちょっと考えてしまいました。

 パーソナライズ時代はこれからますます進み、美容業界でも避けて通れない課題ではありますが、パーソナライズでハードルになるのは、やはりコストだと思います。

 パーソナライズ商品は、お客様の好みにできるだけ合わせるのがベストですが、お客様の好みに合わせれば合わせるほど、それと比例してコストも上がっていきます。そして当然利益も少なくなるわけですから、このコスト問題をどう解決するかがこのビジネスのポイントになるのだと思います。
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沖野真紀

中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役

定性調査に特化したインサイトマーケティングを得意とする。また、日本とアジアのメディアで美容通としても活躍中。その知見と現地調査でアジア女性の美容ニーズの分析に努めている。

http://blooms.jp.net/

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