【週刊粧業2019年6月10日号5面にて掲載】
通販業界では、注文やお問い合わせに対する電話対応を、外部のコールセンターに委託するケースが多くあります。莫大なシステム投資をせずに済むことや人材教育にかける時間やコストを費やさずに済むことに加え、運営ノウハウを持つプロに任せたほうが、受注ミスの防止や応対品質を一定レベル保つことができるというメリットがあるためです。
しかし、プロに任せたからといって安心して、丸投げしていては、商品説明が正しく行われていないということや定期コースの誘導率やアップセルの成果がなかなか思うように上がらないといったことも起こります。そのため、正確に運用がなされているか定期的にモニタリングをしていくことが大切です。
通販会社A社は、受注時に電話での定期コースへの誘導を行っているのですが、なかなか自社が目標とする定期コース誘導率を出せずにいました。そこで、電話対応を行うオペレーター別の音声チェックを行うことにしました。すると、オペレーターによって会話に差があり、トークスクリプトや対応マニュアルの教育が徹底されていないことが原因であるとわかりました。
そこで、オペレーターに対する教育の徹底と月に1度コールセンターとA社で定例会を開き、トークスクリプトの見直し等を随時行い改善に努めて行きました。このようなことを半年程継続した結果、定期コース誘導率は改善されていきました。
通販会社B社は、定期コースの継続率が悪いといった課題を抱えていました。解約理由を確認すると、商品について間違った理解をされているお客様が一定数いることがわかりました。そこで、お客様からの質問にコールセンターでどのような回答をしているのかを確認するために、コールセンターに行きモニタリングを行いました。
すると、当初作ったトークスクリプトと異なった内容の回答をしていたのです。このことが原因で、お客様は商品を正しく理解できず、結果、継続率を下げることに繋がっていたのです。プロに任せておけばなんとかなると考えていたB社の社員は正しく運用がされているのか定期的に確認することの大切さに気づくことができました。
コールセンターはお客様が最初に接点を持つ、会社の窓口とも言える貴重な場です。トークスクリプトは遵守されているか、応対の品質は下がっていないか、トークスキルは十分か、定期的にモニタリングを行い、主体性を持って改善に努めていくことが大切です。