第44回 中国での展開を強化する訪販化粧品メーカー

【週刊粧業2018年2月5日号5面にて掲載】

 2015年以降、化粧品業界ではインバウンド需要に沸いています。百貨店やドラッグストアの化粧品は外国人観光客に圧倒的な人気を誇っており、その売上は衰えを知らない状況になっています。

 来日時に日本の化粧品を購入した外国人観光客は、帰国後も現地でリピート購入する可能性が高く、国内メーカーが次のステップとして取り組んでいるのがアウトバウンド戦略です。中でも、訪日観光客の消費額の約4割を占める中国市場への取り組みが重要です。

 従来は越境ECを通じて化粧品を販売するセルフ化粧品がメインでしたが、最近では、高いカウンセリング技術や施術レベルを誇る訪販化粧品メーカーにおいても中国市場に注力する動きが活発化しています。

●ポーラ

 同社は中国市場を重点市場とみなし、中国を重点市場とした投資を強化、百貨店、ラグジュアリーモール、免税店などのハイプレステージチャネルへの展開を加速していくとしています。

 ポーラブランドとの接点拡大と、ブランド価値をトータルで提供できる体験型店舗の新設を核に、トータルビューティーブランドとしてのポジションを確立し、2020年までに主力ブランド「ポーラ」の販売店を現在の7店舗から30店舗以上に増やすとしています。

 2017年12月には、上海市にあるショッピングセンター「上海環貿広場」にカウンセリング機能を強化した中国初となるコンセプトショップを開店しました。同社ではコンセプトショップの出店を弾みとし、販売網を拡大し、中国での売上高を現在の10億円程度から2020年には30億円以上に引き上げる計画です。

●シーボン

 同社は、2018年1月、浙江省寧波市にある高級ホテル「寧波開元名都大酒店」グランドフロア内に物販とエステ施術を手掛ける店舗を開店、中国に進出しました。

 店舗ブランドは「シーボン倩朋国際沙龍」とし、約15品目のスキンケア化粧品はもちろん、「東洋式美顔マッサージ」を取り入れたフェイシャルケアやボディのトリートメントなどさまざまなメニューを用意し、5つの個室空間でトータルビューティが適うサロンとして、日本品質のサービス展開を行っていくとしています。

 この店舗には、日本から高い技術力を備えている美容部員を3名派遣しており、今後は店舗の集客状況を踏まえ、進出から1年で3店舗まで広げ、将来的には5店舗にまで広げる計画です。

おわりに

 中国では、日本の化粧品だけでなく、エステやネイルなど日本の美容サービスへの需要も高まってきていますので、「物販+施術」を強みとする日本の訪販化粧品の中国でのポテンシャルは高いと思われます。

 これらの事から、今後、中国展開を強化する訪販化粧品メーカーは増加するのではないでしょうか。
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浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。

http://www.yano.co.jp/asean_india/index.php

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