【週刊粧業2024年9月9日号10面にて掲載】
LTVが高い企業は、一人ひとりのお客様との接触回数、接触時間を多く持つことに加え、お客様の見えないところでもお客様のための時間を使っています。
化粧品通販会社A社は、肌あれに悩むお客様向けの商品を販売しています。そのせいもあってか、使い方や使っても本当に大丈夫なのかといった問い合わせのお電話が多くかかってきます。
ショッピングサイト内に使い方の説明は書いてあり、同梱物でも使い方を説明したツールが入っていますので、「それらをご覧ください」と時間をかけない対応もできるでしょう。
しかし、お客様に少しでも不安なくお使いいただくには、お客様一人ひとりが納得することが大切と考え、時間をかけてでも、お客様の理解が進むまで、説明をしていきます。このような丁寧な対応のせいか、結果として、同業他社よりも高いLTVを実現しています。
化粧品通販会社B社は、売ることを目的としないお電話をすることでお客様との接触回数を多く持つことを大切にしています。これは、度重なる会話を通して、お客様の趣向や悩みなどを深く知ることを目的としています。
電話をかけるだけで商品の案内をしないのは、非効率という考えもあるでしょう。しかし、お客様を深く知ることでお客様のタイミングに合わせた、適切な商品案内ができるようになります。
お客様が必要ではないときに商品の案内をされることはストレスにつながります。一方で、お客様が必要性を感じるタイミングでの案内は「私のことをよくわかっている」と感じていただけるとともに、商品の購入にもつながります。
このような丁寧な対応は非効率なように見えますが、結果として、優良客育成につながり、LTVも向上していきます。
最近では、何事にも効率化を重視する風潮があります。しかし、接客時間やお客様を想う時間を減らしては、優良客が育ち、LTVがアップしていくことは難しいでしょう。
お客様を想う丁寧な対応は、短期的な売上アップには繋がりませんが、長い目で見た時、LTV向上に貢献していることは間違いありません。
目先の数字ばかりに捕らわれず、長期的な視点でお客様を優良客に育てていくという姿勢が、競合多く厳しい時代に、ますます大切なことなのではないでしょうか?
船生千紗子
(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント
通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。
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