コーセーは、2014年を初年度とする中期経営計画で、3つの基本戦略「成長ドライバーへの注力」「基幹ブランド事業の収益性拡大」「経営基盤の強化」を掲げ、最終年度となる2017年3月期には売上高2080億円、営業利益率10%以上、ROA10%以上の達成を目指している。
2014年度上期の連結売上高は、消費増税の反動減という逆風下において2期連続で過去最高を達成するなど、好業績に衰えがみえない。「業績が順調な時こそ、変化に対応するための準備を」という考えのもと、国内外でのさらなる成長へ向けた方針を打ち出している。
小林一俊社長に新年度の課題と抱負、中期計画の考え方についてインタビューした。
コスメタリー事業を軸に国内順調
2期連続で過去最高売上高記録
――上半期の状況についてはいがかですか。
小林 上期連結ベースでは、売上高939億円(前年同期比5・5%増、為替の影響を除くと4・8%増)となりました。
売上げについては、消費増税後の影響が懸念されましたが、コスメタリー事業を中心に国内販売が順調に推移し、さらに米国の化粧品会社「Tarte,Inc.(以下、タルト)」の業績を第2四半期から化粧品事業に取り込んだ結果、過去最高を記録しました。ちなみに、タルトの売上げ(約21億円)を除いても、918億円(3・1%増)となり、過去最高の売上げを確保しています。
営業利益は70億円(4・6%増)、経常利益は81億円(2・1%減)、当期純利益は41億円(6・3%減)となっています。売上比率は、国内が86・4%、海外が13・6%で、海外比率が前年同期に比べ、1・1P上昇しています。
――国内化粧品事業のカテゴリー別の状況はいかがでしたか。
小林 セグメント別では、化粧品事業については663億円(4・2%増)と26億円の増収となりました。
ハイプレステージは、2%の増収(タルトの実績除く)となりました。アルビオンが2%増、ジルスチュアートが2ケタ増で牽引役を果たしています。一方、消費増税の駆け込み需要の反動を受けたコスメデコルテが2%減となりました。しかし、8月21日に「イーブンパーフェクト」、9月16日に「セルジェニー」を投入した成果で第2四半期以降はプラスに転じています。下期にプロモーションや新製品を集中させているため、挽回を期待しています。
プレディアについては、期初は増税の影響を受けましたが、5月以降に新製品(日やけ止め、ヘアケア、美容食品、ポイントメークなど)を積極的に投入し、上期は6%増で推移しています。
プレステージは、主に「雪肌精」「エスプリーク」が好調に推移し、累計で1%増となりました。
雪肌精については、昨年の「ホワイト BBクリーム」のヒットの影響で、今年は厳しい業績推移を予想していましたが、7月発売の「化粧水仕立て石けん」が好評で、継続して新規顧客の獲得が図れています。
エスプリークについては、5月に限定発売した「ひんやりタッチBBスプレー」が当初計画の2倍の売れ行きで一時品切れとなるなど、好調に推移しました。
コスメタリー事業については、前期比8・8%増(21億円増)の266億円となりました。
特にコスメポートが引き続き好調で、通年で過去最高だった前年度に続き、今上期も過去最高の売上げ(前年同期比16%増)を記録しました。
主要カテゴリーにおいては、「カテゴリー№1戦略」を継続し、インバウンド効果もあり、「クリアターン」がシートマスクカテゴリーで引き続き№1を獲得しました。「サンカット 日やけ止めスプレー」や「ソフティモクレンジングオイル」もシェア№1を続け、昨年発売の「ジュレーム」や「グレイスワン」なども実績を牽引しました。
販社ブランドでは、「ヴィセ」「エルシア」などのセルフメークブランドが好評で、各ブランドのセルフメーク什器を並べて展開する店舗も増えてきています。