アルビオン、新シリーズ「フラルネ」確固たる中核を担う存在へ

週刊粧業 2022年9月19日号 6ページ

カンタンに言うと

  • 「肌の個性に寄り添う」をコンセプトに
  • 国内の若い世代の獲得めざし新シリーズへ刷新
  • 新しい価値を打ち出すためネーミングも一新して挑戦
  • 「肌の個性」に寄り添うことにより若い世代の‟なんとなく不調”を解決
  • 単品だけでも誘引できるアイテムの集合体へ進化
アルビオン、新シリーズ「フラルネ」確固たる中核を担う存在へ
 アルビオン(小林章一社長)は、看板シリーズ「エクサージュ」に変わる新たな中核スキンケアシリーズとして、肌の個性に寄り添う考え方から生まれた「フラルネ(FLARUNÉ)」(スキンケア9種12品、2750~5500円)を8月18日より発売した。

 エクサージュが誕生した1997年と25年後の現在では人々の意識や価値観が大きく変化した。多様性や個性を尊重する今の時代に「肌の個性に寄り添う」ことをコンセプトとし、1品1品がより際立つ魅力を携えフラルネは誕生した。

 フラルネを立ち上げるに至った経緯やシリーズの特徴、今後の方向性について、商品開発部 専門課長の後藤健太氏と、商品開発部の原田彩絵子氏、佐藤雅美氏に話を伺った。

国内の若い世代の獲得めざし
新シリーズへ刷新

 ――「エクサージュ」をリニューアルするのではなく、新たに新シリーズ「フラルネ」を立ち上げるに至った経緯を教えてください。

 後藤 「エクサージュ」は、今から25年前の1997年に、社長の小林が国内マーケティング部門の責任者として改革を行い、年代別に3つに分かれていたスキンケアシリーズを集約し、「赤ちゃんのようなみずみずしくうるおう肌」を目指す中核シリーズとして誕生させたものになります。

 その後、2005年に「自らうるおう素肌」を目指し初のリニューアルを行い、2009年には「うるおいがめぐる清漣肌」を目指し2度目のリニューアルを実施し、認知度の高まりとともに着実に売上を拡大させてきました。

 3度目のリニューアルとなる2015年は、導入時の「乳液のよさを知ってもらいたい」という狙いが過去2度のリニューアルを経て成功したことから、乳液を中心としたデイリーケアを強化し、シリーズの魅力をさらに高めました。

 こうした歴史に刻まれるような改革・リニューアルを経て、約25年もの長きにわたり、「エクサージュ」は大きく躍進し、アルビオンの知名度を大きく高めるとともに、20代、30代の若いお客様を専門店様や百貨店様に呼び込むことにも成功し、大きな成果を上げることができました。

 このように「エクサージュ」は、初代から4代目まで「うるおい」を軸にリニューアルを重ね、インバウンド需要の追い風も受けて成長を続けてきました。

 さらなる飛躍を目指し、「エクサージュ」の抱える課題を分析した結果、スキンケアのエントリーシリーズとしての使命である「国内の若い世代の獲得」という点において、安定した実績を上げてはいるものの、以前よりも陰りが出てきているという結論に至りました。

 そうした背景を踏まえ、4代目へのリニューアルから7年後の2022年、「エクサージュ」の誕生から25年にあたるこの節目で大きなテコ入れをしようということになり、2018年には中長期の商品戦略がスタートしました。

 その段階では、「エクサージュ」をリニューアルするのか、新シリーズを開発するのかは未定でしたが、テコ入れを図ることは決まっていました。

 その狙いは、「今を生きる若いお客様」「未来の若いお客様」そんな‟令和の若者達”にもっと支持されるスキンケアへ変革するということです。これを実現すべく、商品開発の担当メンバーは、リアルターゲットに近いフレッシュな感性を持つ人材に担当してもらおうということで、社歴も比較的浅い2名(原田氏、佐藤氏)を選抜し、2020年頃から本格的にブランディングを進行してきました。






新しい価値を打ち出すため
ネーミングも一新して挑戦

 ――ブランディングはどのように進めましたか。

 原田 ブランディングに際しては、「エクサージュ」の廃止ありきではなく、中核シリーズとして今後の商品戦略はどうあるべきか、若いお客様との出会いを拡大するにはどうするべきかといった観点から、ゼロベースで見直しを行いました。検討に検討を重ねた結果、最終的には5代目のエクサージュへリニューアルするのではなく、新シリーズを立ち上げようという結論に至りました。

 もちろん、エクサージュの冠は残しつつ、商品の方向性を変えるという選択肢もありましたが、冠を残すことで、「うるおい」というイメージに引きずられてしまうことを危惧しましたし、今後のアルビオンを考えたとき、エクサージュで25年訴えてきた「うるおい」という価値ではない新しい価値を打ち出すにあたっては、ネーミングも一新して挑戦すべき。その方がお客様に対しても価値が伝わるのではないかと考えました。

 新シリーズのコンセプトを確たるものにし、社長プレゼンに臨みました。喧々諤々の議論がありましたが、最終的に新シリーズに刷新することで了解をいただきました。

 「エクサージュ」は、社長ご自身が誕生させたシリーズであり、思い入れも人一倍あったかと想像しますが、社長の潔い決断に勇気をいただき、前に進み出すうえで大きな力になりました。

 ――プレゼン当日の気持ちを振り返っていただけますか。

 佐藤 当然ですが、中核シリーズの「エクサージュ」をなくして新シリーズを立ち上げるのは、並々ならぬ覚悟がないとできません。

 社長を前に開口一番、「エクサージュを新しいシリーズに変えます」というのは大変勇気のいることであり、どのような印象を持たれるのか多少不安もありましたが、背景をしっかりと説明し、納得・理解していただけました。今振り返ると、うまくいっているシリーズだからこそ、「成功を捨てる覚悟も必要なのかもしれない」とお考えだったように思います。

 もちろん、売上金額も大きい中核シリーズをリセットすることはとてもリスクがあります。しかし、従来の延長線上のまま、5年後、10年後、戦っていけるのかと考えたとき、本当にゼロから、まったく違う考え方で、まったく異なるコンセプト・美容理論で、まったく新しい商品、まったく新しいシリーズにすることが必要だと考えました。

 「エクサージュ」は、化粧品に求められる最も基本的な機能である「うるおいケア」に集中特化し、そこを極めていましたので、シリーズとしてわかりやすさが際立っていました。

 ただ、25年という月日が経過する中で、お客様の肌の環境・ニーズ・気がかりは大きく変化しており、「うるおいケア」だけでは解決できない要素があるのではないか、そこにとどまっていては先に進めないのではないかと考えました。そうした想いがあり、今回は美容理論の刷新にも踏み切りました。



「肌の個性」に寄り添うことにより
若い世代の‟なんとなく不調”を解決

 ――新シリーズ「フラルネ」の特徴について教えてください。

 佐藤 プロジェクトを推進するにあたり、若い方の肌悩みや求めている化粧品について直接ヒアリングし、それをもとに議論を重ねていきました。今を生きる人達が求めている化粧品を見つめ直す中で、「一言では言い表せない悩み」があることに気づきました。

 若い世代の多くが、ニキビやシミといった従来の枠組みでは定義できない悩みを抱えており、私達はこれを‟なんとなく不調”と名付けました。

 それを紐解いていくうちに、人によって肌の不調の要因が異なることに気づき、それを要因別に分類できないかと考え、肌の個性に向き合い、肌性格にアプローチするという新しい概念に到達することができました。肌不調の要因ごとに本質をケアしていくことが美しい肌へ導く一番の近道であることを新シリーズでは強く訴えています。

 ――新しくなった美容理論について教えてください。

 原田 当社では、商品開発において肌でつくるものづくりを大事にしています。フラルネの開発においては、人に個性があるように、肌にも個性があり、なりやすい肌の傾向があることに着目しました。

 人によって異なる肌の本質的な要因を根本的にケアできれば、結果的に今の肌状態にアプローチせずとも、自ずと一番美しい肌状態に導いていけます。今起きている肌状態だけを取り上げてケアするのではなく、根本的なところにアプローチすることでその人本来の美しい肌に導くことが、今回の新しい美容理論の大きなポイントです。

 「乳液先行」というお手入れの基本ステップは変わりませんし、乳液で角層のうるおいバランスを整えてうるおすことはとても重要ですが、うるおいを極めるだけでは肌の不調を解決するのは難しくなってきました。肌のうるおいもタイプ別に分かれていますが、これは肌の本質的な要因が表面化した結果です。元をたどっていけば肌性格に紐づいているという美容理論が「フラルネ」の大きな特徴であり、今を生きる人達が抱える‟なんとなく不調”を解決する切り札になると考えています。

 「エクサージュ」は「うるおいケア」に集中特化し非常にシンプルな体系でしたが、「フラルネ」では、うるおい(保湿)は当然の機能として備えつつ、よりパーソナルな肌悩みにアプローチできるシリーズへと進化しています。

 肌でつくるというモノづくりの姿勢、開発スタイルがあったからこそ、今回、人にはそれぞれ肌性格があるという気づきを得ることができました。

 ――肌性格についてもう少し詳しく教えていただけますか。

 佐藤 「フラルネ」では、肌の傾向・性質の違いを皮膚生理と照らし合わせ「肌性格」として3つに分類し、肌性格に合わせて選ぶ3つの美容液「ビビッドチューナー」を配置していることが商品的な特徴といえます。

 具体的には、つややかさがあり、ハリがあるものの、肌がかたく詰まりやすい「やる気肌(YR)」、きめが細かく、つるんとして見えるが、皮膚が薄く、外的刺激を受けやすい「はかなげ肌(HK)」、しなやかさがあり、ふっくらしているものの、時々トラブルが起きる「気まま肌(KM)」の3つになります。

 ドライ、ノーマル、オイリーといった肌タイプだけに捉われない新たなアプローチとして、肌の性質や状態、トラブルの傾向から肌にも性格があることを導き出しました。肌の個性に寄り添い、よりよい方向にチューニングすることで、いきいきと輝く肌「ビビッドスキン」を目指します。

 美しさは1つではないからこそ、変わらないであろう自分自身の肌性格を知り、それに合わせた最適なケアを行うことで、肌のポテンシャルを最大限に引き出し、最短でいきいきと輝く美しい肌に導いていきます。

 ――どういった層を取り込んでいきますか。フラルネの潜在力をどう分析していますか。

 原田 フラルネには、アルビオンブランドのエントリーシリーズという大きな役割がありますので、20代、30代をメインターゲットに設定しています。

 この年代こそ複合的であいまいな肌悩みを抱えている方が多いと思いますし、様々な情報にさらされる中で、化粧品選びに難しさを感じています。フラルネが一人ひとりの持つ美の運命を切り拓くきっかけになりたいと願っています。

 多様性や個性を大事にする今の若者に「美しさは1つだけではない」というフラルネの思想は親和性が高く、共感性や納得性は得られるはずです。

 今回、エントリーシリーズとして、より多くの方々に自分の商品だと思っていただけるようなベースがつくれたと考えています。

 後藤 「フラルネ」は自分にとってしっくりくることを重視し、自分らしい美しさを叶えたいという方々にぴったりのシリーズですので、より間口が広くなりました。乾燥やニキビといった様々な気がかりにアプローチできる体系にもなっていますし、将来出てくるであろう肌悩みまで網羅していますので、潜在力は格段に高まっているといえます。

 シリーズ特性を敢えて抽象的にしているのも、間口の広さを打ち出すためです。キャッチコピーの「好きな肌は、わたしの肌」にも、「こんな肌になれます」とお客様を1つの概念に当てはめることから脱却し、お客様に最適なキレイを提案していくという新シリーズの想いが込められています。



単品だけでも誘引できる
アイテムの集合体へ進化

 ――デザインが劇的に変わった印象です。狙いを教えてください。

 原田 今の若い世代が最もしっくりくるデザインを導き出すため、「フラルネ」では敢えて社内の若手デザイナーを起用しました。パッケージカラーについても、従来は「エクサージュ」ならピンクといったようにわかりやすさを重視してきましたが、その考えすら取り払ってしまおうということで、複数の色味が混ざったような曖昧な中間色であるニュアンスカラーを採用しました。化粧品ではあまり使用されない絶妙な色合いを用いることで、見ていてほっこりすることを目指しつつ、多様性も表現しています。

 触り心地も重要ということで、手に取ったときにしっとりと吸い付くような質感と優しく丸みを帯びたフォルムを採用しました。しっくりくる感じに到達するまで何度も試作を繰り返すなど、とことんこだわって開発しました。

 ――1品1品が独自性の際立つものに仕上がっているという印象です。各アイテムの特徴を教えてください。

 佐藤 美容液「ビビッドチューナー」(3種各40 mL・5500円)は、肌性格にとって最適なものを考え、感触も全然違うものを揃えています。

 乳液「フルリファイン ミルク」(2種各110g 3300円、各200g 5500円)は、肌のうるおいバランスを整えて柔軟にするだけでなく、肌の解像度が高まるような高精細なキメを育成し、美しさを極めていきます。

 化粧水「ハイドロボム」(110mL・3300円、200mL・5500円)は、セラミドを濃密に配合しながらも、パシャッとみずみずしい感触が特徴です。うるおいをぐんぐん届けて角層を満たすほか、乾燥によるくすみにまでアプローチし、はじけるほどの弾むような肌に導きます。

 クレンジングはネーミングにもこだわり、剤型別に2品を配置しました。

 「フワリィ クレンジングオイル」(200mL・3300円)は、その名の通り、癒されるような肌あたりが特徴です。肌に乗せた瞬間にふわっと伸び広がるような心地よさがありながら、しっかりメークをオフし、オイルなのにうるおい感のあるなめらかな洗い上がりです。

 「ソフトフォンデュ クレンジングクリーム」(170g 3300円)は、フォンデュというネーミングから連想される通り、クリームを肌上に乗せると体温でクリームがとろけるように伸び広がっていくのが特徴です。クリーム特有のベタつきを解消し、ストレスのない洗い上がりにこだわりました。最初の濃厚さとは想像がつかないすっきりとしつつもしなやかな洗い上がりを体感することができます。

 洗顔料「ストリンギー ウォッシュ」(120g 2750円)は、キャップを開けた瞬間から糸を引く、驚きや感動があるアイテムに仕上がったと自負しています。楽しさだけでなく、弾力のある泡質や濃厚なテクスチャーにもこだわりました。濃密な泡で汚れをしっかり絡めとり、洗い流しもスピーディで後肌がつるつるになります。

 以上のように、単品だけでもお客様を呼び込むことができるアイテムへと進化することができました。



史上最大級のサンプリングで
シリーズ愛用者の獲得を推進

 ――認知度を高める取り組みを教えてください。

 後藤 7月上旬よりエクサージュのご愛用者様を中心に、アルビオン史上最大級のサンプリングを実施しています。当初はエクサージュシリーズがなくなるということで、SNS上では不安視する声もありましたが、サンプリングが進むにつれ、フラルネの肌実感の声が広まってきており、手応えを感じています。

 「フラルネ」は一人ひとりの肌の個性に寄り添うシリーズですので、カウンセリング活動を「肌シル」と名付け注力していきます。

 専門店様向けには、肌シル活動を推進する、ターゲット年代に近い若手の美容部員「フラガール」を100名選抜し、フラルネの紹介活動を強化します。肌シルバッジをつけた選ばれしフラガールが全国の店頭で新シリーズの認知拡大を進めていきます。

 それ以外にも、肌シルイベントを集客力のあるショッピングセンター店や百貨店、アルビオンドレッサーなどの業態店で、8月末から10月にかけて実施します。その方にぴったりの乳液と美容液をカスタマイズしてお渡しするトライアルキットを3万名分用意し、イベントを盛り上げていきます。

 さらに、デジタル施策として、フラルネ専用アカウント(Instagram、Twitter)を立ち上げ、8月8日より公開しました。これらのアカウントを活用し、イベントの告知やフラルネの最新情報をタイムリーに発信します。これにより、アルビオンをご存じでない方々にもアプローチし、シリーズ愛用者の獲得を進めていきます。

 また、フラルネのアンバサダーとして、佐藤晴美さん、宮世琉弥さん、Hinaさん、小宮璃央さんの4名を起用しています。

 ジェンダーレスなシリーズであることを印象づけるべく、男女2名ずつの起用となりました。今後、SNS上で肌シル活動やイベントのPRを行っていただきます。



 ――フラルネをどのように育成していきますか。

 後藤 フラルネの使命は、「若いお客様をお店様と一体となって掴んでいくこと」「未来につながるお客様をしっかり育成していくこと」ですので、今後もそれを見据えた商品展開を行っていきます。

 佐藤 これまではアルビオンといえば乳液というイメージが強く、アイテムの選び方も少し偏っていたところもありましたが、今回、アイテムごとに個性や特徴を持たせることによって、お客様と接点を持つチャンスが拡がったと考えています。

 店頭では、「肌シル」という肌カウンセリングを通して、より深いレベルでお客様に肌性格や肌タイプに合ったご提案を行うことが可能になりました。

 これまで以上にお客様の肌に向き合い、寄り添い、ご満足いただきながら、お客様お一人おひとりが持つ美しさを切り拓いていくお手伝いができればと思っています。

 原田 エクサージュを長年ご愛顧いただいていたお客様も多くいらっしゃいます。もちろん、継続して使っていただきたいという想いがありますので、容量・金額については変更していません。

 品質についてはより向上を図りつつ、1品1品の特徴をより際立たせましたので、エクサージュのご愛用者様にも十分ご満足いただけるシリーズに仕上がっています。

 商品をお客様に合わせていくのではなく、お客様に商品を合わせていくという新しい発想のシリーズが開発できましたので、これを機に商品ラインアップのさらなるブラッシュアップを図っていきます。


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