化粧品OEMのミック・ケミストリーは、マーケティング支援に注力し、新規先の反響が増大している。
――昨今は新規取引先の側面支援で競合との差異化を進めてきました。
小野沢 ここ数カ年で増加してきた異業種からの新規取引先に対し、当社ができる範囲で最大限の事業支援を行っている。
具体的にいうと、まずものづくりに関しコンセプトに沿った品質追求で徹底的にこだわって欲しいということ。むしろ、当社の開発陣が 「そろそろ勘弁してください」 と泣きが入るほど、納得した製品を手に化粧品ビジネスを始めてもらいたい。狙いヤル気が曖昧で 「商品は何でもいいから」 では、製造を受託することはできない。
――効率や採算性を求められ製造現場にとり、新規先支援は容易なテーマではないのでは。
小野沢 化粧品業界は成熟化が進んで競争過多になっている。OEM企業も例外ではなく、業務品質を向上していかなければ生き残っていけない。
ただ、3年前から現場へ 「業務の質・スピードの両面を高めて欲しい」 と相反する2つの注文ではっぱをかけ、スタッフはプレッシャーを受けながら実力を増してきた。期間を区切った細かい目標を設定し、これをクリアしながら時間をかけてレベルアップを果たしたと思う。「設定とクリア」 という過程では個々人に考える力もついた。
一例を挙げると、製造効率を短期間で数10%もあげるのは無理な話であり、(年間で)2~3%の改善といった目標を1つずつ乗り越えてきた。
――前期の内容や、2011年7月期の経営目標を教えてください。
小野沢 前期は売上高、利益とも (対前年比で) ほぼ横ばいだった。前期末と1年前で取引社数を比較すると2010年は取り組み先が増えている。これは今期に期待できる要素だと考えられる。
また、既存のお客様がキャンペーン展開を打ちだすなど販売計画が活発化している。これらが当たり始めて店頭が賑わったら、相当に期待できる動きだと思う。
こうした傾向を受け止める当社としては、魅力ある商品開発や短納期の実現という面で社内に 「これで満足」 といった雰囲気を作りたくない。 絶えず前向きで難しい課題を乗り越えていかなければ、現状の能力をブラッシュアップすることができない。万事、「現状維持でいい」 と考えた時点でスキルが落ちてしまう。
製品面では成分訴求にさらに力を入れる。情報化の時代に商品知識が高まった末端の消費者を想定し、効能効果がイメージできる有効成分をアピールして商品の訴求ポイントにする。この先、見た目や印象で化粧品が売れる時代ではない。
この記事は週刊粧業 掲載
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